2026/08/25

損保ジャパン保険料5%引上げと千葉豪雨水没車の実情


損保ジャパンの保険料引き上げと業界位置付け

損保ジャパンは2027年1月に自動車保険料を5%引き上げたと発表した。背景はリスク増大と保険金支払い増加への対応策である。業界の大手として評価され、再保険の仕組みを有している。

自動車保険加入状況

任意保険加入者の約5割が車両保険に加入している。全体の自動車所有者で車両保険加入者は半数未満であり、全体のドライバー約4割が任意保険に未加入である。

他社の水没車対応

千葉県内で水没車の受け入れ体制を整えている主な保険会社は以下の通りである。

  • 東京海上日動火災保険は千葉県四街道市にヤードを確保し、約10台の泥入り車両を搬入した。ヤードの収容能力は約5,000台である。
  • 損害保険ジャパンは県内に約2,500台分のヤードを確保し、近隣で査定開始方針を示した。
  • あいおいニッセイ同和損害保険はGPSデータと冠水情報を照合し、調査員不在で全損認定を行う仕組みを導入した。
  • 東京海上課長の倉田学は、被災者が早期に日常復帰できるよう速やかな保険金支払いを目指すと述べた。

査定プロセスと支払い期間

現地での通常査定では保険金支払いまで約3週間要する。一括査定を利用すれば、全損車を一定数まとめて査定し、最短1週間で支払いが可能になる。

車両保険の補償内容と等級への影響

車両保険は大雨・洪水による浸水被害を補償対象とし、エコノミー型でも基本的に浸水が補償される。

全損判定はエンジン内部まで水が侵入、または電気系統が全滅した場合が多数で、契約時に設定した保険金額全額が支払われる。修理可能な分損の場合は実費(上限まで)が支払われる。

水害による請求は「1等級ダウン」事故として扱われ、翌年の等級が1段階下がり、1年間「事故有」割引率が適用され保険料が上昇する。

千葉豪雨(2026年8月)の被害概要

2026年8月13日から14日にかけて記録的な大雨が千葉県を襲い、半日で約3倍の雨量が観測された。市が管理する道路上で約2,500台が水没し、放置車両は1,200台超と見込まれる。死亡者は8人で、帰宅困難者が庁舎で受け入れられるなど社会的影響が大きい。SNS上で水没車の報告が相次ぎ、保険未加入者のローン残債問題が顕在化した。

保険金支払いに関する実務課題

保険金提示額と実際の修理費用に差が生じるケースが報告されている(例:提示額145万円に対し修理費180万円)。等級ダウンによる翌年保険料上昇リスクが加入者の負担を増大させる。

法規・指針と技術的評価

国土交通省は水深が車体床面を超えるとエンジン・電装系統の故障リスクが高まると警告した。

同省はドア・窓の開閉困難基準を示した。具体的には、80 cmで開きにくく、100 cmでパワーウインドウが停止し、130 cmで脱出が可能になる。

JAFの2024年10月テスト結果は以下の通りである。

  • 水深30 cm・時速10‑30 kmで全車種走行可能だが、車体下部パーツ脱落やボンネット浸水が発生。
  • 水深60 cm・時速30‑40 kmではEV・ハイブリッドが走破できるが、ガソリン車は大量浸水・警告灯点灯し走行不能になる。

対応策

浸水車は無理に動かさず、保険会社やロードサービス(例:JAF)へ連絡しレッカー手配と現場確認を行うことが推奨される。エンジン停止やバッテリー端子の取り外しは専門業者に依頼し、以下の項目を写真に残すと後続手続きが円滑になる。

  • エンジン側前方の状態
  • マフラー側後方の状態
  • 駐車場所周辺の全体像

今後の備えと過去の支払実績

上記の対応策を踏まえて、所有者は車両保険の加入有無、免責額、駐車場所の浸水リスクを確認し、適切な備えを行う必要がある。

KINTOのFAQによれば、台風・洪水の水没は車両保険で補償され、追加負担はない。地震・津波は対象外で自己負担上限は5万円である。保険は東京海上日動が引き受け、24時間365日受付が可能である。

日本損害保険協会の過去豪雨における支払実績は以下の通りである。

  • 平成30年7月豪雨:支払台数25,110台、支払保険金約283億円、平均約113万円。
  • 令和元年東日本台風:支払件数48,038件、支払保険金約645億円、平均約134万円。
  • 2025年8月豪雨:支払件数16,988台、支払保険金約130億円。

火災保険の水災補償と除外条件

火災保険における水災補償は、再取得価額の30%以上の損害、床上浸水、地盤面から45 cm超の浸水が支払条件となる。水災補償が無いプランでは洪水等の損害は非補償である。

車両保険の除外条件として、地震・噴火・津波による水没は対象外であり、補償対象か否かは保険約款で確認が必要である。