2026/08/25

全住宅街へ30km/h法定速度 死亡事故半減へ


法定速度変更の概要

警察庁は2026年9月1日に、生活道路の法定最高速度を60km/hから30km/hへ引き下げることを発表した。改正道路交通法施行令に基づき、同日から施行される。

背景・安全ニーズと事故統計

2021年から2023年にかけて生活道路の事故件数は25,000件から29,400件へ増加し、歩行者の死傷率は58%から65%に上昇した。警察庁の調査では、事故の約6割が歩行者または自転車の関与であり、車両速度が30km/hを超えると歩行者致死率が急激に上昇することが確認された。

対象道路と例外

対象となる生活道路は、中央線・車両通行帯がなく、道幅が5.5m未満で標識が設置されていない道路である。全国の国道・都道府県道・市町村道の約7割がこの条件に該当し、法定速度は30km/hに設定される。

例外として、以下の道路は法定速度60km/hが維持される。

  • 中央線や車両通行帯が設置された一般道路
  • 中央分離帯等で車流が方向別に分離された道路
  • 高速自動車国道本線車道および接続する加速・減速車線
  • 自動車専用道路
  • 標識や道路標示で別速度が指定されている道路(指定速度が優先)

標識で最高速度が指定されている場合は、法定速度ではなくその指定速度が適用される。

法令・判定フロー

道路交通法施行令第11条は、区分Ⅰ(一般道路)を60km/h、区分Ⅱ(生活道路等)を30km/hの最高速度と規定する。また、同令は原動機付自転車の最高速度を30km/hと定めている。

道路交通法施行規則第5条の6の3は、柵・駒止め・棒状工作物が自動車の右側部分にはみ出さないよう設置することを義務付けている。

速度の判定は次の手順で行う。

  • 標識がある → 標識速度に従う
  • 標識がない → 中央線・車両通行帯の有無を確認
  • いずれもなければ30km/hが上限になる

罰則と職業ドライバーへの影響

30km/h制限道路での速度超過は、超過速度に応じて罰則が課される。

  • 超過1〜14km/h:反則金9,000円+1点
  • 超過15〜19km/h:反則金12,000円+1点
  • 超過20〜24km/h:反則金15,000円+2点
  • 超過25〜29km/h:反則金18,000円+3点
  • 超過30km/h以上:懲役6か月以下または罰金10万円以下+6点

点数は超過速度に応じて次のように設定される。

  • 31〜49km/h超過:1点
  • 50〜54km/h超過:2点
  • 55〜59km/h超過:3点
  • 60〜79km/h超過:6点
  • 80km/h以上超過:12点

罰則は「実走行速度 - 法定速度(30km/h)」で算出される。職業ドライバーは速度管理の徹底が求められ、違反が累積すると免許停止や業務停止のリスクが増大する。

罰則の強化は、速度抑制による事故減少と相まって、歩行者・自転車の安全確保に寄与することが期待される。

期待される安全効果

速度抑制により歩行者・自転車の致死率低減が見込まれる。横浜市と名古屋市で導入された「ゾーン30」や「ゾーン30プラス」では、事故件数が大幅に減少した事例が報告されている。

ゾーン30・技術施策

「ゾーン30」は道幅5.5m未満で中央線がなく、住宅地・通学路・商店街等で30km/hを規制する区域である。「ゾーン30プラス」では、ハンプ、カラーレーン、スラローム等の物理的速度抑制装置が併設される。

AIカメラとIoTセンサーを活用し、速度違反や危険運転を自動検知してリアルタイムで警告・取締りを行うシステムが導入されている。

広報・問い合わせ先

2026年5月31日にはラジオ番組「常識が変わる! 生活道路は法定速度30km/hへ」(再生時間18分11秒)が放送され、警察庁交通規制課の平野雄介職員が説明した。

不明点は都道府県警察本部または最寄り警察署へ問い合わせ可能である。参考情報は警察庁公式サイトの速度引き下げ対象道路事例掲載ページ、道路交通法施行令第11条、道路交通法施行規則第5条の6の3である。