研究の実施と背景
森永乳業は2026年5月29日に科学誌『Aging』に掲載された最新研究を、同年7月27日の「最新研究発表会」で公表した。
同社は50年以上にわたりヒト常在性ビフィズス菌(HRB)の健康効果を基礎研究から応用研究まで幅広く実施している。
米国のカロリー制限研究では、約25%のカロリー削減を2年間継続した結果、老化速度が約2〜3%低下したと報告されている。
本研究は日本初の食品介入による老化速度抑制臨床試験として、探索的無作為化非盲検並行群比較試験を3か月間実施した。
研究デザインと介入内容
対象は48名で、介入群はビフィズス菌BB536配合プレーンヨーグルトを1日100 g摂取した。
同時に過食・間食・加糖飲料の抑制指導と、ウォーキングまたはステッパーによる1日30分、週3回以上の運動指導を行った。
対照群は食事・運動指導を受けず、ヨーグルトの摂取も行わなかった。
評価指標
老化速度は血液DNAメチル化情報から算出されるDunedinPACEで評価した。数値が低いほど老化進行が緩やかである。
結果と解釈
介入群は対照群と比較し、DunedinPACEが有意に約2.3%低下した(p < 0.05)。
介入群21名中約9.8%で老化速度低下が確認された。
相関解析の結果、BMI変化(r = 0.16, p = 0.49)とDunedinPACE変化の間に有意な関連は認められなかった。
同様に、運動頻度変化(r = ‑0.04, p = 0.85)とDunedinPACE変化の間にも有意な関連は認められなかった。
ビフィズス菌BB536と製品情報
ビフィズス菌BB536はヒト腸管から分離されたHRB株で、酸・酸素に強く大腸まで到達可能である。
同株は同社の「ビヒダスヨーグルトシリーズ」に配合され、1500万年以上ヒト祖先と共進化したと示唆されている。
学術的意義と市場比較
- ビフィズス菌に関する学術論文数は世界一と報告されている。
- エイジングケア領域でビフィズス菌研究が重点領域に位置付けられている。
- 本研究の老化速度低下は米国カロリー制限研究と同等であり、食品介入という点で差別化できる。
課題と今後の展望
サンプルサイズが48名、介入期間が3か月である点が研究の限定性として指摘されている。
ビフィズス菌単独の老化速度への影響を検証する臨床試験が計画中である。
炎症性老化制御メカニズムの解明として、細胞実験でIL‑6・IL‑8の抑制とヒストン修飾変化が報告されている。
エイジングケア製品の開発と健康寿命延伸への貢献を目指す。
専門家の評価
内藤裕二教授はDunedinPACEの有意低下を「非常に重要」と評価し、腎機能指標との関連にも関心を示した。
小田巻俊孝所長は老化速度の個人差の大きさと評価技術の進展を指摘した。
宮地一裕取締役はビフィズス菌の長期共進化歴をエイジングケアのコア素材と位置付けた。
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