2026/08/25

長野県のクマ目撃急増2026‑統計と対策まとめ


長野県におけるクマ目撃の統計

2026年度の人が暮らす地域へのクマ目撃件数は926件である。うち4〜6月は494件、前年同月比は+59.4%である。

直近30日間の目撃は138件、過去30日間は274件、過去7日間は35件である。

全県の累計出没件数は5,132件、2024〜2026年の累計は3,113件である。

2025年度の目撃件数は1,324件で、人身被害は11件(被害者16人、死亡1人)だった。2026年度の人身被害は未収録で、目撃・痕跡が中心である。

出没場所と時間帯の内訳

  • 道路・路上:92件(49%)
  • 山林・登山道:43件(23%)
  • 公園・施設:20件(11%)
  • 農地・果樹園:16件(9%)
  • 河川・水辺:8件(4%)
  • 学校・通学路:6件(3%)

時間帯別(111件判明)は、朝(5〜10時)34%(38件)、昼(11〜15時)33%(37件)、夕方(16〜18時)25%(28件)、夜(19〜4時)7%(8件)である。

天候・季節別の出没傾向

2026年3月30日〜8月24日の1日平均件数は、晴天が7.0件、曇天が6.0件、雨天が5.0件である。雨天は約21%少ない。

季節別の増加率は、春(4〜6月)が38%、秋(9〜11月)が27%である。

農作物被害と子グマ同行出没

  • 5月17日(上田市菅平高原)でトウモロコシ全滅と野菜被害。
  • 5月3日(安曇野市穂高有明)でサツマイモ被害。
  • 子グマが同行した出没は53件。

ツキノワグマの推定生息数

長野県林務部の推定では、ツキノワグマの生息数は約5,728頭(推定幅 1,441〜9,367頭)である。令和2年度末の7,270頭と大きな変化はない。

地域別出没状況

  • 大町市:86件(直近30日間8件)。2026年6月に男性が負傷する人身被害が発生し、同月に警報が発出された。
  • 軽井沢町:69件(直近30日間12件)。5月3日と6月4日に山菜採り・散歩中の男女が遭遇した事故例がある。
  • 安曇野市:69件(直近30日間6件)。
  • 長野市:55件。
  • 松本市:47件(直近90日間43件)。
  • 木曽地域(上松町・南木曽町・木曽町・木祖村・王滝村・大桑村):2026年6月の目撃件数は91件で、平年の約2.3倍。警報が注意報から警報へ引き上げられた。
  • 松本地域:目撃件数が平年を大きく上回り、5月に注意報が延長された。

リスク別の例

  • 高リスク:坂巻温泉(1,839件)、上高地(1,570件)
  • 中リスク:焼岳(1,296件)、正受庵(1,174件)
  • 低リスク:妻籠宿(1,095件)、御岳県立公園(1,050件)

出没増加の要因

山林の餌不足、実のなる木、農作物、未収穫果実が里山境界(農地・河川敷・道路)での出没を誘引し、全体の62%を占める。

推定生息数の増加(約5,728頭)が出没増加の一因と評価されている。

山の実りが不作の年は低標高へ下りるクマが増加する相関が報告されている。

人間側の要因として、生ごみ・未収穫果実・農作物残渣の放置が誘引となり、クマの慣れと学習により警戒心が低下し、人里への再出没が繰り返されやすくなる。

国・県の制度と対策

2024年4月にクマが「指定管理鳥獣」に位置付けられ、都道府県が計画的管理できる枠組みが整備された。

長野県は「人身被害ゼロ」を目標に、全庁的連携でツキノワグマ対策総合パッケージを推進している。

  • ツキノワグマ出没情報マップ(KumaWatch)を公開し、随時更新。
  • 防災メール、ホームページ、防災行政無線で出没情報と注意喚起を発信。
  • 生ごみ・未収穫果実の管理、電気柵設置、林刈り払いを推奨。
  • 早朝・夕方の単独行動回避を呼び掛け。
  • 人身被害が高いと判断されたクマは鳥獣保護管理法に基づき捕獲・追い払いを実施(市町村・猟友会と連携)。

情報提供・マップ機能

ツキノワグマ情報マップはログインIDとパスワードが必要である。

背景図は国土地理院撮影の空中写真が使用されている。

表示設定はピン表示、ヒートマップ表示、ピン+ヒートマップ表示の3種類が選択可能である。

フィルターとカレンダーで期間絞り込みができ、「けもの予報」設定により指定範囲と期間のアラート通知を受取れる。最終更新日は2026年8月24日8時である。

出没件数の内訳は、自治体・県公表情報が3,008件(96.6%)、報道機関が102件(3.3%)、利用者報告が3件(0.1%)である。KumaWatch データは環境省公開情報と各自治体の公式オープンデータを統合している。

PDF形式の目撃情報は、令和8年(2026年)4月から8月までにそれぞれ542 KB、704 KB、1,087 KB、874 KB、595 KBのサイズで提供されている。

市町村別の過去1年/直近90日件数

  • 大町市:143件/64件
  • 長野市:137件/42件
  • 軽井沢町:98件/56件
  • 安曇野市:88件/48件
  • 松本市:67件/43件

市民への行動指針

  • 熊鈴や音の鳴るものを携行し、鳴らしながら歩く。
  • 食べ物・ゴミは山林・農地に捨てず、畑や果樹園周辺の管理を徹底。
  • 早朝(5〜10時)・夕方(16〜18時)の単独行動は避け、複数人で行動。
  • クマ撃退スプレーはホルダーに入れ、すぐ取り出せるようにする。
  • クマに遭遇した際は目を離さず刺激しない。背を向けずにゆっくり離れ、逃げられない場合はうつ伏せで頭と首を守る。
  • 河川敷や渓流沿いは音が届きにくく接近しやすいため、常に周囲に注意。
  • 足跡・フン・爪痕を見つけたら進まずに引き返す。

ツキノワグマ情報マップの問い合わせ窓口は電話 026‑235‑7273、ファックス 026‑234‑0330である。