日本のICCへの貢献
日本はICC予算の約10%以上を拠出し、最大の資金提供国である。
1998年のローマ規程起草に大きく関与し、同規程はローマ外交会議で採択されてICC設立の法的基盤となった。
赤根智子氏をはじめとする日本人がICC裁判官として任命されている。
極東国際軍事裁判(東京裁判)の経験は他国にない重みと評価された。
エセキエル・ヒメネスマルティネス氏の声明
スペインの国際法学者エセキエル・ヒメネスマルティネス氏は、日本がいなければICCは存在し得なかったと主張した。
同氏は日本がローマ規程起草で大きな役割を果たしたこと、設立以来最大の資金拠出国であること、裁判官を輩出していること、東京裁判経験が重みを持つことを挙げ、ICCを守るために日本が主導権を発揮すべきと述べた。
米国による制裁圧力
2026年8月18日、米国務省・財務省(OFAC)はICC所長赤根智子氏と複数の裁判官・弁護士をSDNリストに追加し、資産凍結と米国金融システムからの排除を実施した。
同日、大統領令第14203号(IEEPA根拠)により、ICCの米国人・同盟国への捜査を「国家安全保障への重大な脅威」として国家非常事態を宣言した。
米国務省報道担当者は、同盟国(日本含む)に対しICC支援の打ち切りを期待していると発言した。
米国はICCの加盟国ではなく、米国内領域にはICCの管轄権が及ばないと主張している。
この制裁に対し、米国内の訴訟で大統領令14203号の合憲性が争われ、一部で差し止め命令が出された。
ICCが直面する危機
カーン主任検察官は2025年2月に制裁対象に指定され、2026年7月に性加害疑惑で解任されたが、後任は未定である。
米国の制裁によりICC裁判官の半数が対象となり、加盟国の離脱の動きが見られる。
2023年7月に性加害疑惑で特別会合が開催され、検察官の懲戒免職が議論された。
米国の制裁はICC職員の動揺を広げ、設立以来最大の危機に直面していると指摘されている。
ICCが機能しなくなると、戦犯訴追は国連安全保障理事会の意向で決まる時代に逆行すると指摘された。
日本政府の外交対応
高市早苗首相は「ICCを守るために外交力を発揮すべき」と述べ、赤根智子所長とICJ所長岩澤雄司へ公式メッセージを送って支援を表明した。
外務省(北村俊博外務報道官)は2026年8月19日に米国の制裁措置について「大変残念」と公式見解を示した。
岩屋毅外務大臣と木原稔内閣官房長官は、米国務長官マルコ・ルビオとの会談・記者会見で米国のICC制裁に対する懸念を直接伝達した。
赤根智子所長の経歴と制裁状況
赤根智子は1956年6月28日生まれ、愛知県名古屋市出身である。
1980年に東京大学法学部を卒業し、1990年にジャクソンヴィル州立大学刑事司法コースを修了した。
1982年に検事任官し、横浜・東京・札幌地方検察庁で検事・公判部長等を歴任した。
2010年に最高検察庁検事、2014‑2016年に法務省法務総合研究所長を務めた。
2018年3月にICC裁判官に就任し、2022年3月にウクライナ戦争犯罪捜査を担当した。
2024年3月にICC第6代所長に選出され、任期は2024‑2027年である。
2026年8月18日に米国OFACのSDNリストに追加され、資産凍結、米国人取引禁止、入国拒否の対象となった。
OFACの「50%ルール」適用により、赤根が直接・間接に50%以上所有する法人も制裁対象となった。
General License No.12により、2026年9月17日0時1分(米東部夏時間)までの取引整理が猶予された。
ロシア連邦捜査委員会は2023年3月に赤根を含むICC関係者3名の捜査を開始し、同年7月に赤根を刑法違反容疑で指名手配した。
モスクワ裁判所は2025年12月に赤根を含む9名のICC判事に対し、欠席裁判で3年半から15年の拘禁判決を下した。
日本政府はロシアの欠席裁判を「不当」と批判し、ICC・オランダ当局に安全確保を要請した。
欧州連合(EU)と他加盟国の反応
EUは米国の制裁を「受け入れがたく、前例のない措置」と公式に批判し、EU規則(No 2271/96、2023/2675)の適用を検討している。
日本・英国・ドイツ・フランスは「ICCは解体させない」と明言すべきだと提案した。
ICC締約国会議(ASP)は米国制裁に強く批判し、決議(ICC‑ASP/24/Res.6)を採択した。
ローマ規程の関連条項
第48条第2項は裁判官・検察官等が外交使節に与えられる特権・免除と同等の特権・免除を享受できると規定している。
第70条第1項(d)・(e)は裁判所構成員への脅迫・買収・不当介入、職務遂行に対する報復を「司法の正当な維持に対する罪」と定めている。
ICCの主要捜査対象
以下の人物・政権がICCの捜査対象となっている。
- ロシア(プーチン大統領)・ウクライナ児童違法移送事件
- イスラエル(ベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアヴ・ガラント元防相)
- リビア(サイフ・アル=イスラム・カダフィ、マフムード・アル=ワルファリ、オサマ・アルマスリ・ネジェーム)
- スーダン(オマル・アル=バシール、アブデル・ラヒーム・ムハンマド・フセイン)
- ウガンダ(ジョセフ・コニー)