ロシア外相の発言
2026年8月19日の記者会見で、ロシア外相セルゲイ・ラブロフは日本に対し「国連憲章第107条(敵国条項)をしっかり読んでほしい」と述べた。
ロシアは過去に北方領土根拠として第107条を引用しており、1989年と2019年の発言でも同様の主張が見られる。
この発言の目的は、日本の軍事演習や領土主張に対し法的根拠を提示し、圧力をかけることである。
中国外交部の同意
同日、林剣報道官はラブロフ外相の主張に「中国は同意する」と表明した。
2026年は東京裁判開廷80周年であり、抗日・反ファシズム勝利成果を守る象徴的な年と位置付けられている。
中国は第107条を「国連憲章の重要規定」と位置付け、再確認と拘束力の強調が軍国主義復活防止に必須と主張した。
第107条の概要と現行ステータス
第107条は「敵国条項」と呼ばれ、第二次世界大戦後の旧敵国(日本、ドイツ、イタリア等)に対する例外規定を定める。
具体的には、旧敵国が戦後の占領・制裁措置を受けても、憲章上で無効化できないことを規定している。
2026年時点で第107条は正式に削除されていないが、実務上は「obsolete(時代遅れ)」と認定され、実効性は低いと多数国が見なしている。
歴史的背景と過去の国連決議
1946年に開廷した東京裁判は2026年で80年を迎える。
1995年の国連総会決議50/52は「旧敵国条項は時代遅れ(obsolete)である」と認定し、実務上の死文化を決議した。投票は賛成155、反対0、棄権3であり、日本・ロシア・中国は同決議に賛成した。
2005年の国連首脳会合では、全加盟国首脳が「敵国」への言及削除を方針として再確認した。
憲章改正には加盟国の3分の2以上の賛成と常任理事国全員の批准が必要である。
各国の立場
- 日本政府は第107条は実質的に無効であると主張し、1995年決議と実務上の死文化、国連憲章第2条第4項・第51条に基づく主権尊重を根拠とする。
- ロシア連邦は1995年決議に賛成したが、外交官は依然として第107条を根拠に日本へ圧力を行使している。
- 中華人民共和国は1995年決議に賛成し、2026年の記念発言で第107条の重要性を再度表明した。
- ドイツ政府とソビエト連邦(1991年共同声明)は「実質的に意味を失った」旨を表明している。
- 国連安全保障理事会常任理事国(米英仏中露)は改正手続きのハードルが高いことを指摘している。
実効性と改正手続き
多数国が第107条を「obsolete」と評価し、実務上は使用されていない。
条文は削除されていないため、法的に完全に無効化されたわけではない。
改正・削除には加盟国の3分の2以上の賛成と常任理事国全員の批准が必要であり、2025年時点で実現していない。
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