ベトナム政府の新政令と罰則
政令283/2026/NĐ-CPが2026年7月15日に公布され、2026年9月10日に施行された。
自発的に外国に不法残留した労働者に対し、罰金は80 million〜100 millionドン(約48 万円〜60 万円)である。
契約終了後または職業訓練契約終了後に正当な理由なく海外に残留した場合も同額の罰金が科される。
罰金は脅迫や強制によらない不法滞在が対象であり、併せて証拠没収、業務資格の一時停止、事業活動の停止が行われる。
処罰の時効は、一般労働・社会保険が1年、海外就労が2年に延長された。
違法ブローカー・仲介業者への罰則
不正な海外就労仲介に対しては、最大120 万円(約2億ドン)の罰金が科される。
許可範囲外で営業した海外就労サービス企業の支店には、180 million〜200 millionドン(約110 万円〜120 万円)の罰金が課される。
罰金には国有商業銀行の最高金利で算定した利息が付加され、違法に徴収した金額の返還義務が併せて課される。
地方人民委員会による未登録労働者への罰金
契約登録を取得していない労働者に対しては、5 million〜10 millionドン(約3 万円〜6 万円)の罰金が課される。
罰金額の経済的インパクト
ベトナムの平均年収は約40 万円(約660 万ドン)である。
80 million〜100 millionドンの罰金は平均年収を上回る可能性がある。
100 millionドンはベトナムの一般的な月収に相当する。
日本入管庁への影響
不法滞在ベトナム人の出頭数が増加していると報告されている。
出頭後に「出国命令」を受けた者は、収容されずに強制退去として処理される。
窓口での待機列が長く混雑しているとの報道がある。
ベトナム人不法滞在者の動向
罰則強化と円安・厳格な外国人政策が生活苦を招き、帰国出頭が増加している。
正規ビザで日本でエンジニアとして働くベトナム人は、罰金が3〜4倍になることについて構わないと回答した。
日本側の不法残留者統計と制度
2026年1月1日現在の不法残留者数は68,488人で、前年比8.5%減少している。
ベトナム籍不法残留者は11,601人で、前年比2,695人減少した。
在留資格別の不法残留者は、短期滞在4,1607人、技能実習9,323人、特定活動7,306人である。
技能実習生の失踪者は令和5年時点で5,481人(全体の56.2%)であり、2025年の失踪者は2,593人で全体の約65.6%を占める。
2024年6月に技能実習制度が改正され、2027年4月1日から「育成就労制度」へ移行することが決定している。
法制度の変化
育成就労制度は約3年の移行期間を経て、条件を満たす者は特定技能1号へ転換可能である。
制度の変更に伴い、違法就労や不法残留に対する取締りが強化されている。
逮捕事例
主な逮捕事例は以下の通りである。
- グエン・ゴック・キー容疑者(37歳)ら3人が空き家侵入・金品盗難で逮捕(今週)。
- グエン・ヴァン・コン容疑者(37歳)ら2人が埼玉県で覚せい剤販売容疑で逮捕。
- 2025年に岩手県でベトナム国籍男女13人(うち11人は技能実習生)が不法残留容疑で逮捕された。
- 2026年に大阪府でベトナム国籍男女7人が同様の容疑で逮捕された。
課題と展望
- ベトナム政府は海外不法滞在抑止とブローカー取り締まりを強化し、罰則時効延長で長期不法残留への抑止効果を期待している。
- 日本側は増加する出頭者への窓口対応、収容・退去手続きの効率化が課題である。
- 技能実習生・特定技能者の失踪・不法残留防止策の強化が求められる。
- 円安と外国人政策の厳格化がベトナム人労働者の生活に与える影響を緩和する必要がある。