2026/08/21

中露連携で日本を牽制 北方領土と戦後秩序の行方激化


中国外務省の声明

プーチン大統領が2024年8月13日に択捉島を訪問したことを受け、2024年8月14日と2026年8月14日に中国外務省は報道官談話を行った。内容は「第2次大戦の勝利の成果は適切に尊重・順守されるべきだ」とし、従来の「2国間の問題」という中立表現は使用しなかった。北方領土をロシア領と明言せず、日本に対し「戦後国際秩序を守るよう」注文した。中露が共闘して日本に圧力をかける構図が強調された。

在日中国大使館とロシア大使の共同文書

呉江浩駐日大使とロシア駐日大使ニコライ・ノズドレフは、2024年8月13日と2026年8月13日に共同文書(共同寄稿)を発表した。文書は北方領土に直接言及せず、第二次大戦の勝利成果を歪曲・否定する行為に断固反対した。「主権と領土の一体性の相互尊重」を原則とし、領土問題で中露が足並みを揃えていることを暗示した。

ロシア側の主張

プーチン大統領は2024年8月13日に北方領土(択捉島)を初訪問し、「第2次世界大戦の結果として南千島はロシアに帰属する」と述べた。ロシアは第2次大戦の結果、南千島(北方領土)がロシア領であると公式に主張している。

歴史的背景と立場の変遷

1964年、毛沢東は千島列島(北方領土含む)は日本側に返還すべきと発言した。1989年以降、中国共産党指導部と政府はソ連(ロシア)との関係正常化に伴い、北方領土問題を「2国間の問題」として中立的に扱う姿勢に転換した。2021年、ミシュスチン首相の択捉島上陸時には「日露間の問題であり、二国間で適切に解決すべき」と表明し、中立的立場を示した。習近平国家主席とプーチン大統領の関係が深化する中、近年は「中立」から「ロシア寄り」へと立場が変化している。

中露連携と対日圧力

軍事・安全面では、中露両軍が日本周辺で空軍爆撃機の共同飛行訓練、海軍艦艇の合同パトロールを繰り返し実施している。将来的に中国軍がロシア軍の北方領土訓練に参加するシナリオが議論されている。

経済・投資面では、ロシア側が北方領土の経済開発において中国企業に大規模投資を求めていると指摘されている。

政治的圧力としては、高市早苗首相の台湾有事発言を契機に中国が対日圧力を強め、歴史問題で中露が足並みを揃えて第二次大戦の成果を守ることを共同主張し、日本に対し「戦後国際秩序」の遵守を要求している。

具体的文書・発表(時系列)

  • 2024年8月13日 在日中国大使館・ロシア大使共同文書発表(北方領土不言及)
  • 2024年8月14日 中国外務省報道官談話(第2次大戦成果の尊重)
  • 2026年8月13日 呉江浩大使・ノズドレフ大使共同寄稿(長文、北方領土不言及)
  • 2026年8月14日 中国外務省再度報道官談話(同上)

将来のシナリオと課題

  • 領土問題の拡大リスク:沖縄・尖閣諸島でも中露連携が深化すれば、同様の圧力構図が展開される可能性が指摘されている。
  • 中国対ロシア経済依存度:北方領土開発への投資要請が増えると、中国側の政策決定にロシア側の影響が強まる懸念がある。
  • 日本の外交対応:日本が「戦後国際秩序」のみを注文し、領土問題を回避する姿勢に対し、どのように反論・交渉するかが課題として挙げられている。
  • 国内世論・国際法的立場:毛沢東時代の「返還すべき」という発言と、現在のロシア寄り姿勢の乖離が国内外で批判の焦点になる可能性がある。