2026/08/21

外食業特定技能1号受入停止と2026年人手不足危機


政策・制度の変更

2024年4月に外食分野の特定技能1号新規受入れが停止された。受入れ上限5万人に達したことが直接的な原因であり、入管法第7条の2第3・4項に基づく。

2026年4月13日以降に受理された在留資格証明書(COE)交付申請は原則不交付とされ、在留資格変更許可も原則不許可となった。既存の特定技能1号在留者は在留期間の更新および同分野内転職が通常審査で認められる。

受入れ上限超過が2026年5月頃に見込まれたことを受け、停止措置が発表された。新規受入れ停止は特定技能制度創設以来初めてである。

農林水産省は外食業特定技能1号技能測定試験の予約手続きを当面停止し、再開時期は未定としている。一方、特定技能2号試験および飲食料品製造業の試験は予定通り実施される。

特定技能制度は2019年4月に創設され、外食業の受入れ見込数は5年間で53,000人に固定されている。機動的な見直し制度は存在しない。

  • 特定技能1号は同一分野内転職が認められる。
  • 特定技能2号は在留期間上限がなく、更新が可能である。
  • 特定技能2号は配偶者・子どもの帯同が認められる。

外食産業の現状

外食業全体の雇用者は約400万人で、外国人労働者は約20万人(5%)である。特定技能1号在留者は約46,000人で、全雇用者の約1%に相当する。

日本フードサービス協会の2026年3月調査によると、売上高は前年比105.7%、客数は102.8%である。

人手不足は慢性化しており、ピーク時の提供速度や客席回転率に影響が出ている。

厚生労働省は2025年10月末時点の外国人労働者数が2,571,037人で過去最多であると報告した。2026年4月の宿泊業・飲食サービス業新規求人数は前年同月比で9.1%減少した。

帝国データバンクの2026年1月調査では、正社員不足を感じる企業が52.3%、非正社員不足が28.8%であり、非正社員不足が最も高い業種は飲食店(58.6%)である。2025年度の人手不足倒産件数は441件で、うち飲食店は21件である。

OECDは非製造業・対人サービス業の人手不足感が製造業より深刻であると指摘し、East Asia Forumは外食業の受入れ枠がコロナ禍時の需要予測に基づき設定され、感染収束後の需要回復に追いつかなかったと分析している。

企業の求人・採用動向

求人広告には「SSW FOOD SERVICE WORKERS WANTED!」や「特定技能(外食)急募!」と掲示され、東京新橋、名古屋、大阪などで立地の良さ、住宅提供、キャリア支援が訴求されている。応募条件は外食特定技能1号在留資格保有者かつ日本居住者である。

すかいらーくグループは2025年度に外国人雇用人数が4,636人(雇用率3.7%)で、2020年度比で倍増した。配置は以下のとおりである。

  • 店舗特定技能1号アルバイト:約270人
  • セントラルキッチン特定技能1号:約93人
  • 技能実習生:約171人

同社は多言語動画マニュアルを提供し、グローバル人財窓口を設置した。トレーニングセンターで4か月間に約115人を採用した。DXの一環として配膳ロボットとセルフレジを導入し、依存度低減を図っている。

Lincプラットフォームは外食企業20社が求人募集人数を増やし、月収を約30,000円上げて募集している(求人指数約200)。

一部外食チェーンは外国人比率が高い店舗で24時間営業短縮や新規出店計画の見直しを検討している。

採用支援会社は外国人材争奪戦に伴う危機感と混乱が続くと指摘している。

マイナビグローバルは特定技能求人件数が前月比で2.1倍増加したが、求職者応募数は前月比で約50%減少し、新規応募者数は前月比で約80%減少したと報告している。

特定技能人材の供給状況

特定技能1号在留者は2026年2月末時点で約46,000人で、受入れ上限の92%に相当する。受入れ上限5万人に近づき、2026年5月頃に超過が見込まれている。

新規受入れ停止後、国内在留特定技能人材への求人は指数で約2倍に増加している。

回転ずし店の社長は人材不足に直面し「頭が真っ白になった」と発言している。

地方から都市部への人材流出が止まらず、国内特定技能人材は都市部に集中している。

政府・制度設計の課題

  • 受入れ見込数が固定されている。
  • 受入れ枠はコロナ禍時の需要予測に基づき設定され、感染収束後の需要回復に追いつかなかった。
  • 受入れ枠の拡大には閣議決定が必要で、政治的コストが高く、保守層の影響で慎重な対応が求められる。
  • 現行の5年間枠組みは2029年3月末まで維持される可能性が高く、短期的な柔軟化は未検討である。

企業側の対応

  • 給与・休日・住居支援などの待遇改善と職場環境整備が必須。
  • 調理・配膳工程の省人化投資、セントラルキッチン化、ロボット導入を検討・実施。
  • 外部委託費用は1人月額2〜3万円で、10人で年間約240万円になる。

将来の労働力動向

生産年齢人口の減少が続き、労働集約型産業全体で人材獲得競争が激化すると見込まれる。特定技能2号は受入れ停止対象外であり、在留期間上限がなく配偶者・子どもの帯同が認められる。

人材が都市部に集中するため、地方企業は国内特定技能人材の奪い合いに直面している。