みかんの白い部分の構造と名称
みかんの皮の内側に現れる白い組織は「アルベド」または「維管束」と呼ばれる。名称はラテン語 *albedo*(白)に由来し、内果皮(中果皮)に相当するスポンジ状・綿状の組織である。
外側は外果皮(フラベド)で、薄皮は瓤嚢(じょうのう)、果肉は砂じょう(さじょう)と区分される。アルベドは根・葉から吸収した水分と無機養分を運ぶ道管と、糖分を運ぶ師管からなる血管的機能を持ち、皮をむいた後も白い繊維として残る。
栄養成分と健康効果
アルベド・維管束にはペクチンが豊富に含まれ、大腸がん予防、血中コレステロール低下、脂質異常症改善に有効とされる。また、糖の吸収を緩やかにし食後血糖値上昇を抑制し、腸内善玉菌のエサとなって腸内環境と免疫力を向上させる。
ヘスペリジン(ビタミンP、ポリフェノール)はアルベドに高濃度で含まれ、含有量は果汁の約100〜300倍である。血圧上昇抑制、毛細血管保護、血流改善、冷え性対策に寄与し、ビタミンCと同時に摂取すると吸収率が向上する。
可食部100 g 当たりの主な栄養値は以下の通りである。
- エネルギー 49 kcal。
- 食物繊維総量 1.0 g。
- カリウム 150 mg。
- ビタミンC 32 mg。
- β‑クリプトキサンチン 1,700 µg。
アルベド・維管束にもビタミン、クエン酸、カリウムが含まれる。
アルベドは正常で毒性がなく、食べても問題ない。
食べ方・調理・保存のポイント
ヘタ側から皮をむくと白い筋が皮側に残りやすい(農林水産省推奨)。完熟みかんで薄い皮・柔らかい袋を選ぶと、白い筋が食べやすくなる。ヨーグルトに混ぜると食感が緩和し、腸活効果が高まる。
白い筋の除去方法は次のとおりである。
- 沸騰したお湯に1分程度入れると白い筋がはがれやすくなる。
- 重曹入りお湯で2〜3分加熱すると薄皮が溶けやすいが、ビタミンCが失われる可能性がある。
- 外皮ごと約90℃の湯煎で3分加熱すると白い筋が実からはがれやすくなる。
白い筋と外観が似るカビは色変化、ぬめり、異臭を伴う。疑わしい場合は廃棄する。
白い筋の量は甘さに影響しない。甘さは糖度、品種、熟度、保存状態で決まる。
白い筋は食感に影響することがある。
参考・データソース
- 農林水産省:白い筋は栄養分・水分を運ぶ維管束と説明。
- 農研機構:アルベドは白い綿状組織、じょうのう膜は果肉小袋を包む。
- 文部科学省食品成分データベース:エネルギー・食物繊維・ビタミンC等の数値。
- 部位別ヘスペリジン含有量(アルベド 3,800 mg/100 g、じょうのう膜 950 mg/100 g)。
- 「ミカンの絵本」農文協(令和5年更新)。
- 「からだにおいしいフルーツの便利帳」高橋書店(令和5年更新)。
- 『けんたろ式“見るだけ”ことば雑学辞典』KADOKAWA(2024年12月20日出版)。