2026/08/22

米高騰と古米在庫危機―平石屋吉田商店の失敗と再生策


平石屋吉田商店の業績と事業転換

平石屋吉田商店は1907年に宇都宮市で創業し、業歴は120年以上である。

1990年代以降、米流通規制緩和を受けて卸販売事業へ転換し、多額の設備投資で精米加工能力を強化した。

1994年8月期の売上高は109億7千万円で過去最高であったが、2003年8月期には39億8千5百51万円に減少し、4850万円の赤字と債務超過に陥った。

設備資金の借入が過剰債務化を招き、資金繰りが圧迫された。2018年8月期まで断続的に赤字が続き、再建策でも利益率は改善しなかった。

日本国内米市場の価格動向と需要変化

2024年6月頃の米平均価格は5kgあたり2000円から2200円であった。

2025年には3000円台後半に上昇し、約2倍に近い価格上昇が確認された。

上昇要因は包装代・輸送費の上昇、相対取引価格が一定であること、買い占めによる需給逼迫である。

食生活の変化と少子化により米需要は1960年代のピーク以降右肩下がりとなり、価格競争が激化した。

2025年後半に米不足は徐々に解消される見込みであるが、店頭米価は依然として高止まりしている。

米卸業者・大手商社の取引動向

高騰米価格下で仕入れが困難となり、事業継続を断念するケースが報告された。

大手商社・仲介業者は価格上昇前に大量買い占めを実施し、在庫を卸業者や小売店に保管させた。

新規参入業者は「消えた」21万トンを購入し、価格上昇時に転売で利益を狙った。

政府・農林水産省の政策と備蓄米

政府は米価格高騰抑制のため備蓄米の放出を決定し、市場に出回る米量の増加と米価安定が期待された。

備蓄米放出の効果が現れるまでには時間がかかると予測された。

農林水産省は2024年の米生産量が前年増加し、流通すべき米量は約21万トン減少したと報告した。

同省は2025年の民間在庫が223万トンで過去最大、販売量が132万トンで過去最低であると公表した。

平石屋吉田商店における古米在庫の現状

高騰米価格下で古米を大量に買い付けたが、販売できず倉庫に滞留した。

消費者と外食産業が米購入を控えた結果、古米は倉庫に残り、価格下落に伴い損失が拡大した。

2025産玄米1俵(60 kg)を3万円超で仕入れたが、売れ残りが続いた。

取引先からの値下げ要求に応じず、在庫を安売りしない姿勢が維持された。

市場全体の混乱と需給ミスマッチ

令和5年から令和6年にかけて日本米市場は異例の混乱に見舞われた。

令和5年産米は猛暑による収量減少で卸価格が1.5倍から2倍に高騰した。

令和6年産米は豊作で供給量が前年比56万トン増加し、供給過剰に転じた。

スポット市場価格は相対取引価格に比べ2万円台まで急落したが、小売価格は流通過程の余りにも関わらず下がりにくい。

米購入を控えた消費者と外食産業の行動が在庫滞留を招き、供給過剰が価格下落を引き起こし、卸業者の損失が拡大した。

古米の処分・活用策

多くの自治体で古米は可燃ごみとして処分可能であるが、大量の場合は事前連絡が必要である。

虫やカビがある古米は密閉袋に入れ燃えるごみとして処分し、10kg以上の大量処分は自治体へ事前連絡、または不用品回収業者へ依頼し、手数料は数千円程度である。

以下は古米の再利用例である。

  • フードバンクは賞味期限1か月以上、精米から2年以内の国産米を受け付ける。
  • ぼかし肥料は古米、米ぬか、油かすを6:3:1の比率で混合し、夏は約1か月、冬は2〜3か月で発酵させて完成する。
  • コンポストは少量の古米を混ぜると2〜3週間で有機肥料になる。
  • 古米の再精米により風味が多少回復する。
  • 古米コース搭載の炊飯器で調理可能であり、水加減は1.1倍から1.2倍、浸水時間は夏30分、冬1時間とする。
  • 古米を使用したポン菓子、餅、のり、クレヨン、ホットアイマスク等の製品化が進行している。

将来展望と事業者の対応策

都内スーパー担当者は、包装代・輸送費上昇が続く限り価格は下がりにくいと述べた。

ミスターマックスは、今後の米価格は秋の新米動向次第で未確定であるとした。

政府備蓄米放出の効果は時間がかかるため、短期的な価格安定は期待しにくい。

事業者は在庫温存を控え、需要が回復するタイミングで段階的に販売する方針を示した。

付加価値としてブランド米や加工品で差別化し、古米のリサイクル・寄付・肥料化を活用して廃棄コストを削減する計画が示された。