2026/08/22

マシュローデーが生んだホワイトデーの歴史


起源・歴史

1977年、福岡・博多の老舗和菓子店石村萬盛堂の社長・石村僐悟氏は、少女雑誌の「バレンタインにチョコは返ってこない」という投稿に注目した。

不公平感を解消するため、マシュローデーとしてマシュロを用いた返礼を提案した。

1978年3月14日、岩田屋(百貨店)と共同で「マシュローデー」キャンペーンを開始し、マシュロでチョコレートを包む商品を販売した。

同店は看板商品「鶴乃子」の技術を応用し、黄身餡をマシュロ生地で包んだ菓子を開発した。

キャンペーン用ポスターを継続的に製作し、ブランドイメージを定着させた。

1980年代初頭に百貨店側の要請で名称が「ホワイトデー」に変更され、同時に「ホワイトデーはマシュローデー」としてマシュロの推奨が続いた。

全国飴菓子工業協同組合は1978年に「キャンディを贈る日」案を提示し、1980年に正式に「ホワイトデー」と命名して全国キャンペーンを開始した。

1979年に大手菓子メーカーと百貨店がホワイトデー商戦に参入し、名称が広く認知された。

1968〜1969年頃に大手菓子メーカーが「リターン・バレンタイン」ブランドで返礼用キャンディ・マシュロを販売し、1973年3月14日に2社が共同でキャンペーンを実施したことが、ホワイトデー誕生の一説として残っている。

文化・背景

日本では贈り物を受けたら返礼する礼儀が根付いており、お中元・お歳暮・内祝いなどが例として挙げられる。

バレンタインデーは女性が男性へチョコレートを贈る慣習であり、ホワイトデーはその返礼日として成立した。

「白」は日本で幸運・清らかさ・純潔の象徴とされ、マシュロの白色と結びつく。

「ホワイト」の採用は白色イメージによりキャンディやクッキーなど多様な菓子メーカーの参入を容易にした。

日付はバレンタインの1か月後である3月14日が「永遠の愛を誓う日」や『古事記・日本書紀』で飴が製造されたとされる日と結び付けられた。

商品・返礼品の変遷

1970年代から1980年代にかけてはマシュロとキャンディーが主流であり、全国飴菓子工業協同組合はキャンディーの贈呈を推奨した。

1990年代以降、クッキー、チョコレート、ケーキ、アクセサリー、雑貨、高級スイーツ、ジュエリーへと商品が多様化した。

返礼対象は恋人だけでなく、友人・家族・職場の同僚へも拡大した。

  • ギモーヴ詰め合わせ 約1,500円
  • スモアセット 約2,000円
  • カラフルハートマシュロ 約1,000円
  • ショコラマシュロ 約1,300円
  • 和風抹茶マシュロ 約1,200円
  • グルテンフリーマシュロ 約1,700円

価格帯別の利用シーンは、500〜1,000円が職場・複数人、1,000〜2,000円が家族・親しい相手、2,000円以上が本命・特別な相手に対応する。

マシュロの意味合いは、ポジティブ:受け取ったチョコレートをマシュロで包んで返す、ネガティブ:口溶けが早く関係がすぐに消えるというインターネット上の俗説がある。

市場規模・調査データ

1980年代以降、ホワイトデーはバレンタインに匹敵、あるいは上回る規模の市場に成長した。

菓子業界の市場規模は約750億円で、手焼きクッキー等の販売拡大が寄与している。

2016年の消費者予算調査では、女性の最頻値は500円未満(27%)と500〜1,000円未満(24%)であり、男性の最頻値は500〜1,000円未満(22%)と1,000〜2,000円未満(21%)であった。

同調査で男性の33.6%が「貰った金額よりやや多く」返礼し、28%が「同額」、14.4%が「返礼しない」と回答した。

阪神百貨店調査では、女性の45%ががっかり感を示し、85%が事前に好みを調べてほしいと回答した。

男性の予算は「同等」33%、「2倍」27%、「1.5倍」25%であった。

地域・国際展開

韓国・台湾・中国では「白色情人節」や「ホワイトデー」の習慣が定着している。

韓国では4月14日に「ブラックデー」も存在し、返礼はバスケットに菓子類を入れる形で行われる。

中国では白色情人節として男性がチョコや花束を贈るが、返礼の意味は薄い。

台湾でも同様に男性が贈り物をする日として認識されている。

欧米諸国(フランス・イギリス・米国・カナダ等)にはホワイトデー相当の行事は存在しない。

イタリアでは3月8日の「国際女性デー(ミモザの日)」が類似の贈り物習慣として挙げられる。

課題・現代の認識

バブル期には「三倍返し」風潮が広がり、返礼が高額化しブランド品やディナーまで拡大した。

バブル崩壊後は沈静化したが、上回って返す圧力は残存している。

SNS調査で約67%の女性がマシュロは本命にはNGと回答した。

同調査ではマシュロが嫌い、または関係を遠ざける意味として認識されることがある。

今後の展望

「白」のシンボリズムを活かした新商品開発と、マシュロのポジティブイメージ回復が課題として示されている。

アジア市場へのさらなる展開と、欧米への認知拡大の可能性が検討されている。

補足・参考情報

石村萬盛堂はオンラインショップを運営し、40年の歴史と時代を映すポスター等を展開している。

日本記念日協会は石村萬盛堂説に基づきホワイトデーを公式に登録している。

ロイズのホワイトマシュロチョコは個包装が特徴のギフト商品として人気がある。

手作りマシュロの基本レシピは、ゼラチン浸し後に砂糖・水・コーンシロップを加熱し、ゼラチンとシロップを混合・泡立てて型に流し冷却し、カットする工程である。