政策の背景
2023年6月と2024年7月10日に高市早苗首相は、子育て世代の経済的負担軽減と仕事・育児の両立支援を目的として、家事支援サービス利用時の税制措置の検討を関係閣僚に指示した。
同時に「家事の社会化」戦略の主導者として、2027年に創設予定の国家資格「家政士(仮)」の導入を推進した。
税制優遇案
経済産業省は2027年度税制改正要望に、ベビーシッターおよび家事支援サービス利用者への税制優遇を盛り込む方針を固めた。優遇手段は次の三つである。
- 所得控除:課税所得を減額する。
- 税額控除:納税額から一定額を差し引く。
- 給付付き税額控除:控除額が納税額を上回った場合に差額を現金給付する。
厚生労働省とこども家庭庁は年末に協議を行い、控除の形態と控除割合を検討する。協議の主要論点は所得制限の有無である。参考例として、フランスでは利用料の50%が所得税から控除される制度がある。
対象サービスと資格制度
税制優遇の対象は、以下の条件を満たすサービスに限定される。
- 家事支援サービス:国家資格「家政士(仮)」保有者が提供するもの。
- ベビーシッターサービス:保育士・看護師等が提供する安全・高品質な育児サービス。
家政士資格の試験内容例は、掃除・料理・洗濯、対人マナー、介護・育児支援知識を含む。
家事支援サービス事業者協会は、2022年6月と2023年6月に、一定基準を満たす事業者も税優遇対象に加えるよう自民党へ提言した。
市場動向と外国人受入れ
大阪府、兵庫県、神奈川県の国家戦略特区では、外国人家事支援人材の受け入れを限定的に実施している。国が認めた受入機関が雇用主となり、第三者管理協議会が労働環境と品質を監査する。
熊本県では、TSMCの進出に伴う外国人エンジニアとその家族の増加により、家事代行ニーズが急増している。
国際比較として、フランスとスウェーデンは家事サービス利用料の約半額を所得税から控除する制度を有し、韓国では外国人家事管理士の受入れに伴う賃金・労働環境のミスマッチが問題となっている。
課題と将来展望
税制優遇に伴う課題は、雇用と財政の二側面に分かれる。雇用面では、外国人家事支援者の賃金・労働条件の適正化が求められ、第三者管理協議会による定期監査で品質確保が図られる。
財政面では、税制優遇による財政負担増大への懸念が指摘されている。
資格制度によりサービスの質と報酬が保証され、外国人依存の抑制が期待される。
野田聖子議員は、家事支援に対する「ぜいたく・家のことを怠けるイメージ」の是正を訴えている。
2027年秋に家事支援国家資格試験が初実施される予定である。税制優遇は、働く子育て世代の経済的負担軽減を目的としている。
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