背景・経緯
2026年8月19日、大貫毅代表は当該発信が党または県連の活動と誤解される恐れがあると指摘した。県連は発信に関与していないと説明し、困惑している旨のコメントを追加した。
立憲民主党栃木県連に党員登録している男性は、2024年6月にAIで「中村りほ@立憲民主党」アカウントを作成し、プロフィールに「性暴力から妊娠、出産」等を記載した。2024年8月19日には書面で「非常に軽率だった」と反省し、2025年11月に村田きょうこ参議院議員へ「父がお世話になっております」と返信し、架空の娘であることを示唆した。
ジャーナリストの堀潤は取材により、当該アカウントが生成AIで作られた架空人物であることを確認し、作成者が「非常に軽率だった」と認めた書面回答を報告した。
AI生成アカウントの内容
「中村りほ@立憲民主党」アカウントはX(旧Twitter)上に存在し、後に凍結された。プロフィールは次のとおりである。
- 中村りほ公式。性暴力から妊娠、出産。経験を生かし女性が安心して暮らせる社会を目指します。
主な投稿例は以下の通りである。
- 2025年12月:AIで自分が妊娠した場合のイメージを投稿。
- 2026年8月9日:骨盤の骨折が治りかけ、和式で排尿できるようになったと報告。
- 2026年8月15日:5月2日午前2時30分に体重3620 gの女児を出産したと具体的な日時と体重を記載。
- 2026年8月14日:出産後初の政治活動として栃木県鹿沼市内の住宅訪問を報告。
同時に、別アカウントで「中村りほ氏(25)」が性暴力による望まない妊娠・出産経験を語り、選挙挑戦を宣言した。また「中村りほ後援会」への移行を発信し、実在感を補強した。
立憲民主党本部・栃木県連の対応
- 本部は作成者に対し、AIを用いた作画は不適切であると指導し、アカウント名に「立憲民主党」を使用しないよう要請した。
- 県連事務局長は作成者が実在する党員男性であることを確認し、党からの公認・推薦は得ていないと説明した。
- 県連は本件を本部に報告し、名乗りの中止とAI利用指導に留め、除名や処分は行っていない。
作成者(男性党員)の声明
- 「女性や子育て、性暴力被害などの問題を発信したい」という動機で架空人物を設定した。
- 「非常に軽率だった」と反省し、今後はAI生成であることを明示すると表明した。
- 現在、問題のアカウントにログインできず、原因不明でXサポートに問い合わせ中である。
インターネット上の反応
- コミュニティノートに「この画像はAI生成であり、中村りほ(里帆)なる立憲民主党議員及び候補生は存在しません」と警告が付与された。
- 多数のコメントが投稿内容に対して批判的であることが確認された。
法的・規制的側面
2026年7月に改正された公職選挙法・情報流通プラットフォーム対処法は2027年3月1日施行予定である。改正法は、選挙運動用に実際の撮影と誤認されるAI生成・改変画像・映像に「AIで作成した」旨の表示を義務付ける。
本件の投稿は施行前であり、非公認の党員個人による継続的発信であるため、現行法の適用対象になるかは不確定である。
課題と今後の対応
- AI生成コンテンツに対する「生成AIである」表示義務化が求められている。
- 政治発信におけるAI利用のガイドライン整備が必要と指摘されている。
- 党名・ロゴ使用の許可管理体制の強化が課題として挙げられている。
- 党員個人のSNS活動に対するモニタリングと事前承認プロセスの導入が検討されている。
- 作成者は再発防止策としてAI生成であることを明示する方針を公表した。
- 党本部は同様事例の再発防止のため、AI利用に関する研修・マニュアルの策定を予定している。
- 法改正に合わせ、AI生成画像・動画の表示義務化が実務上適用されるまでの暫定的な自主規制を検討している。