背景と経緯
北海道京極町の農場(MTアグリ)は、2022年3月に特定技能制度でミャンマー人労働者の受け入れを開始した。
2026年5月から7月にかけて、男女計30人中6名が同農場の寮に入居した。
来日時に「日本はいい国だ」と期待していた労働者は、就労開始直後から暴言・暴力・セクハラが常態化したと証言している。証言には「いつ怒られるかわからなかった」という記述がある。
被害は2024年8月21日と2026年8月21日の記者会見で公表された。
経営構造と法的経緯
実質的経営者は京極町議(父)とその息子2人である。
厚生労働省は2022年3月に同法人の技能実習計画7件を人権侵害として認定取り消しした。
認定取り消し後、別会社を設立し特定技能外国人の受け入れを継続した。
代表取締役は別人物だが、実務は父子が指示を行っている。
労働環境と人権侵害
身体的暴行として、金属製棒で背中・頭・腕を叩く、首を締める、追いかけ回す行為が報告されている。
女性従業員に対しては、胸・お尻への小突き、胸ぐら掴み、顔面ビンタが行われた。
暴言の例は録音に残っており、「日本のご主人様は誰だ」「何だその目…」といった言葉が含まれる。
証言によれば、暴言と暴力は毎日繰り返された。
寮・生活環境
寮の家賃は月額2万円で、2人部屋に布団2枚しか置けない狭さである。
トイレは1つが詰まり使用不可、もう1つは汚く自掃除が必要だった。
冷蔵庫と炊飯器にカビが生じ、入居初週はガスが通っていなかった。
賃金・労働条件
契約通りの休みが取れず、未払い賃金が発生した。
特定技能制度上の報酬・福利厚生基準が守られていない疑いがある。
法的・組織的対応
男性(19歳)1名と女性4名は2024年8月に警察へ告訴状を提出した。
2026年8月21日の記者会見で、6名が証言し保護を受けた。
札幌地域労働組合は、7月に女性4名、8月に男性2名を教会で保護し、農場からの離脱支援を実施した。
組合は8月28日までに農業法人へ謝罪・未払い賃金・団体交渉を求め、6名の情報を札幌出入国在留管理局に提供した。
札幌出入国在留管理局は調査要請を受け、暴力・ハラスメント疑いについて調査に着手した。
厚生労働省の認定取り消しに伴い、5年間の特定技能受入停止規定が適用される可能性がある。
特定技能制度と政府方針
特定技能制度は、外国人労働者に報酬同等・福利厚生・生活オリエンテーション・日本語学習の支援計画を遵守させる義務を課す。
法令違反が確認された場合、5年間の受入停止等の罰則が適用される。
政府は2027年開始の育成就労制度と合わせ、2029年3月末までに受入上限を123万1900人に設定する方針を示している。
影響と今後の課題
被害者は「日本は安全と信じていたが、毎日のように暴行を受けた」「日本に来る前は希望に満ちていたが、毎朝恐怖の中で過ごした」と語っている。
農業法人への信頼低下が指摘されている。
- 農業法人の暴行事実の正式認定と法的制裁の実施
- 未払い賃金の清算と労働条件の是正
- 特定技能受入企業の監督強化と支援機関の機能拡充
- 監査・通報体制の整備による人権侵害の再発防止策の導入