全国概況と総額
2025年度のふるさと納税寄付総額は約1兆3,314億円で過去最高となった。2024年度は約1兆2,728億円である。全国1741自治体のうち498自治体(約28%)が赤字で、総マイナス額は約2,592億円である。
制度の概要
制度は2008年に創設され、寄付額から2,000円を除いた金額が所得税・住民税から控除される。返礼品調達費は寄付額の30%以下と規定されている。2026年10月からは活用可能額基準が52.5%以上、2029年10月には60%以上へ引き上げられる。
背景と原因
住民税控除額は受入額の約60%を占め、経費は受入額の約46%を占める。高所得者が多い都市部で住民税控除が大きくなることが赤字拡大の主因である。返礼品や手数料等の経費は寄付額の30%以下であるが、実質的な負担は大きい。さらに、不交付団体は地方交付税の75%補填を受けられない。
都道府県別の収支
- 東京都:赤字額2,255億円(受入額162億円、経費66億円、住民税控除額2,351億円)
- 神奈川県:赤字額846億円
- 大阪府:赤字額489億円
- 埼玉県:赤字額481億円
- 愛知県:赤字額469億円
- 北海道:黒字額709億円。全8道が黒字で、各道とも100億円超の黒字を計上。
- 宮崎県:黒字額281億円
- 山梨県:黒字額228億円
市区町村別の収支
- 東京都内62市区町村のうち57が赤字
- 埼玉県内63市区町村のうち49が赤字
- 秋田県、山形県、鳥取県、宮崎県の全市区町村が黒字
- 横須賀市:受入額約7.9億円、流出額約12.7億円で赤字。地方交付税補填により実質黒字約936万円。
財政影響と補填
住民税控除額の約75%が地方交付税で補填される(交付団体のみ)。本試算は補填を考慮していないため、赤字は試算上より大きくなる。
会計検査院は2024年度の制度全体で約863億円の赤字を指摘し、経費は過去最大で約55%、近年は46〜48%に推移している。2022年度は△580億円、2023年度は△1,060億円、2024年度は△863億円の赤字である。
所得税減収分の33.1%が地方交付税の法定率分として地方財政に波及し、国の損失は数千億円規模と推定される。企業版ふるさと納税は2024年度に約630億円である。
今後の課題と展望
- 都市部の赤字拡大と地方への財源移転バランスの是正
- 不交付団体への地方交付税補填制度の見直し
- 返礼品費用・募集経費の抑制
- 制度改正に伴う活用可能額基準の引き上げが進行中である