政策の発表と対象国
2024年1月、トランプ政権はロシア、イラン、アフガニスタンなどを含む75か国の永住ビザ(家族同居・就労目的)の発給を一時停止すると発表した。目的は「福祉や公的給付の不正受給防止」および「富の搾取を終わらせる」ことである。
同措置は2026年1月にも同様の理由で再度発表された。
対象国はロシア、ブラジル、中東・アフリカ諸国などを含む75か国であり、日本は2024年・2026年ともに対象外である。
米国務省の実施措置
米国務省は、トランプ政権の発表を受けて2024年1月にブラジル、コロンビア、エジプト、ハイチ、ソマリア、ロシアなど約40%に相当する国々の移民ビザ発給を停止した。
全外交・領事公館に送付した公電では、追加証拠が提出されてもビザ発給を拒否するよう指示された。
2026年1月にもロシア、イラン、アフガニスタン等からのビザ発給停止が再度発表された。
米国務省は係争中の訴訟についてコメントしないと表明した。
司法判断
米連邦地方裁判所(ニューヨーク)は2024年8月21日、75か国対象の移民ビザ発給停止措置が法律に反するとし、無効と判断した。
同裁判所は2026年8月21日(または23日)に、同措置が違法・無効である旨の判決を下した。
判決は、国務長官が法定権限を超えて全対象国の全員に対し一律拒否したことを違法と指摘した。
バルガス判事(ジャネット・バーガス判事)は、出身国だけを根拠にビザ発給を拒否する指示を認定し、判決文で「結論はあらかじめ決まっている。ビザは拒否される」と記述した。
同政策が1965年の「国籍による差別禁止法」および領事判断に国務長官が関与できない規定に違反すると指摘された。
米政府は判決に対し上訴可能と表明している。
法的根拠と違反点
- 米国の法律では、公的支援が見込まれる移民の入国拒否は、財政状況・年齢・健康・技能・家族状況の個別審査後にのみ認められる。
- 領事官はビザ発給資格を判断する権限を有し、国務長官がその判断に直接介入することは禁じられている。
- 本件政策は、国籍のみを根拠にした差別的取扱いが1965年の差別禁止法に抵触する。
- 個別審査を求める法制度を無視し、一律拒否した点が違法とされた。
影響と今後の課題
判決により、トランプ政権の永住ビザ発給停止措置は法的に無効化された。
米政府は上訴の余地があるが、判決は移民ビザ発給における個別審査基準を復活させる方向性を示した。
日本は対象外であるため直接的な影響はない。
約40%の世界諸国が対象だった政策が無効化されたことで、米国の福祉給付への不正受給防止策は再検討を余儀なくされる可能性がある。
米国務省は合法的な移民審査基準を策定し直す必要がある。
上訴審で法的争点が再審査され、国務長官の権限範囲が明確化される可能性がある。
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