スシロー中国店舗における客による排尿事案と店員の対応
2026年9月3日、北京市海淀区の大悦城店にて、客の母親が幼児にカップを用いて排尿させた事案が発生しました。母親は、子どもが「ママ、おしっこ!」と大声で叫んだため、その場で対応したとしています。また、広東省広州市の番禺天河城店では、子どもが仕切り板を乗り越え、隣席の卓上蛇口に足を乗せる事例も発生しました。
大悦城店の店員は、客が排尿させる様子を2度目視しながら制止しませんでした。店員は、自身は一般従業員であり制止する権限がないと回答しています。店舗側は排尿の事実を認めており、座席の変更、問題箇所の消毒、使用食器の廃棄を実施しました。一方、カスタマーサービスの公式方針では、衛生や食品安全を脅かす状況には直ちに制止し、清掃・消毒を行うとしています。
中国事業の急成長と衛生管理における不備
スシローは2021年に中国本土へ本格展開し、2026年4月には22都市100店舗に到達しました。「手頃な日本式回転寿司」として若年層や家族客に支持され急成長しています。
一方で、衛生管理の不備も確認されています。2026年1月から2月にかけて、浙江省・杭州店舗などで、刺身用器や待機中の食器から水跡や食物残りが確認されました。また、無許可の冷たいケーキ類の販売や、従業員の更衣・手洗い・消毒手順の不備といった運営上の問題も判明しています。
杭州店舗に対しては、違法所得28,446.33元の没収および罰金38,000元(合計66,446.33元)の行政処分が下されました。あわせて浙江省内の12店舗が検査された結果、6店舗で不備が確認され、そのうち5店舗に是正命令、1店舗を調査としています。
業界共通の構造的課題と中国当局の動向
外食チェーン業界では、客数増加に伴う食器回転数の上昇や厨房作業の高密度化により、現場管理に死角が発生しやすくなっています。特に低価格・高回転型の構造では利益率への圧力が強く、短期的な損益を優先して期限管理などの基本管理に緩みが生じやすいという弱点があります。
こうした構造的弱点を背景に、他社でも同様の事例が発生しています。ハイディーラオ(2017年)では北京店舗の厨房内でネズミの発生や器具の不適切使用が発覚し、営業停止と全店点検となりました。ミーシュエ・アイスシティ(2025年)では前日カット果物の使用が、ウォレス(2025年)では期限切れ食材の表示貼り替えや健康証明の問題が報じられ、店舗閉店や従業員解雇に至っています。
こうした状況を受け、中国当局の監督体制は、個別の店舗単位から本部による統合的な管理体制(本部統治)へ移行しています。2025年には「外食チェーン企業向け食品安全責任に関する規定」が公表され、本部の実地確認責任が明記されました。また、消費者のSNS投稿や通報がメディア報道、当局検査へと短時間で連動するため、問題の可視化速度が速い構造となっています。
日本国内の管理基準と企業ガバナンス
一方、日本国内の株式会社あきんどスシローでは、厳格な衛生管理ルールを運用しています。調理場入室時には2種類の石けんで各部位を10回ずつ2回洗う手洗いを義務付けています。さらに、ビデオモニタリングと30分おきの衛生チェックを実施し、出勤時には同居者を含む健康状態(下痢・嘔吐等)を確認して、異常がある場合は出勤を停止させています。監査体制としては、衛生管理専門チームが3ヶ月に1度全店訪問監査を行っています。
財務状況と投資リスク
FOOD & LIFE COMPANIESの2026年9月期中間実績において、売上収益は2,541.82億円(前年比+24.7%)となりました。そのうち海外スシロー事業の売上収益は940.66億円、セグメント利益は127.62億円です。
市場は「海外成長株」として約41倍の高PERで評価しており、成長ストーリーへの不信感が株価の変動要因となります。地方当局による処分が他省へ波及し、出店許認可や商業施設との契約に遅延が生じることが投資リスクとして懸念されています。
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