2026/09/05

モグラの生態からゴルフ規則まで!動物に起因する救済と判定の罠


モグラの生態と分布

モグラは体長12~16センチ、体重48~127グラムの小型動物で、ミミズや昆虫を好んで捕食し地中を掘り進みます。代謝が高いため、半日ほど食料が得られないと餓死する特性があり、8時間周期で活動と就寝を1日3回繰り返します。

日本国内の分布については、本州の静岡・長野・石川以北から下北半島までにはアズマモグラが、関西地方にはコウベモグラが生息しています。一方で、北海道には津軽海峡を境界とする生物分布の境界線「ブラキストン線」が存在するため、モグラ、イノシシ、ツキノワグマ、ニホンザル、ニホンカモシカは生息していません。

動物に起因するコース状態の定義と救済

ゴルフ規則16.1では、「動物の穴」を「修理地」「動かせない障害物」「一時的な水」とともに異常なコース状態と定義しています。動物の穴には、モグラの盛り土やイノシシが掘った穴など、掘り出された土や盛り上がった地面の全区域が含まれ、無罰で救済が可能です。救済手順は、ニアレストポイントからホールに近づかない1クラブレングス以内にドロップします。

一方で、規則15.1aでは、ミミズ、昆虫、蟻塚、クモの巣などの分離した自然物を「ルースインペディメント」と定義しており、これらは罰なしに取り除くことができます。ただし、蟻の盛り土のようなルースインペディメントを「動物の穴」と誤認して救済を受けた場合は、「誤所からのプレー」となります。

動物に関する特殊ケースと禁止事項

規則8.1a(3)により、動物の穴を埋めたり盛り土を平らにしたりするなどの地面の改変行為は、一般の罰を受ける禁止事項とされています。

また、規則11.1bに基づき、球が動物に止まった場合の扱いは以下の通りです。

  • グリーン外:救済エリアにドロップする。
  • グリーン上:ストロークをカウントせず、再ストロークする。

野生動物による影響の具体例として、昨年の明治安田レディスでは、クマの出没により無観客で開催されました。

規則の制定団体と運用体制

これらのゴルフ規則は、R&A(スコットランド)とUSGA(アメリカ)の2団体が共同で制定および解釈の修正権限を持っています。R&AはUSGA管轄外の世界全域を、USGAは米国、その準州、メキシコを管理しています。

日本ゴルフ協会(JGA)については、競技の最終裁定権が競技委員会にあるため、個別の紛議に介入する権限はありません。また、個人からの規則質問は受け付けていません。正会員の加盟倶楽部からの正式な書面質疑にのみ、規則委員会が回答します。

ルール普及ツールとして提供されているR&A公式ゴルフ規則アプリには、規則全文、図表、入門ビデオ、プレーヤーズルールファインダー、クイズ機能が搭載されています。このアプリは日本語を含む12カ国語以上に対応しており、最大29カ国語まで拡大予定です。

北海道ツアーにおける判定事例

1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材してきた日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員の吉川丈雄氏は、当時の北海道ツアーで起きた珍判定について記録しています。

その事例では、競技委員が、モグラが生息していない北海道のコースにおいて、土の盛り上がりを「モグラの穴」と判定し、選手に救済(ドロップ)を与えました。