スシロー中国の事業展開と業績
FOOD & LIFE COMPANIESが展開するスシロー中国は、2021年9月に広州市へ1号店をオープンし、本格的な展開を開始しました。2026年4月時点で22都市100店舗に到達しています。「手頃な価格の日本式回転寿司」として若年層や家族客に支持され、過去最高売上を更新する店舗が続出しています。
2026年9月期の中間実績では、売上収益が前年比24.7%増の2,541.82億円となりました。海外事業の売上収益は940.66億円、セグメント利益は127.62億円を記録しています。市場では海外成長株として約41倍の高PERで評価されています。一方で、不祥事による株価急落や許認可遅延などの投資リスクが懸念されています。
衛生管理の基準と中国店舗における実態
日本国内の株式会社あきんどスシローでは、以下の厳格な従業員衛生管理を義務付けています。
- 手洗い:2種類の石けんで各部位を10回ずつ2回洗うことを義務化。
- モニタリング:ビデオカメラによる監視および30分おきの衛生チェックを実施。
- 健康管理:出勤時に同居者を含む健康状態を確認し、異常がある場合は出勤を停止。
- 服装:マスク、専用靴、時間指定で交換するビニールグローブを着用。
組織的な品質管理として、専門チームによる3ヶ月に1度の全店訪問監査や、仕入先への約200項目の独自基準による管理を取引条件としています。また、身だしなみや温度管理など約70項目のリスクチェック表を運用しています。
スシロー中国の現場では、衛生管理の不備が確認されています。杭州店舗などで、刺身用器や待機中の食器に水跡や食物残りが確認されたほか、無許可の冷たいケーキ販売、更衣・手洗い・消毒手順の不備が認められました。また、顧客からは店舗内での子供の裸やレーンへの咳・くしゃみの放置、従業員の接客態度や服装不備、勤務者の属性に関する不満が指摘されています。
大悦城店における不適切事案
大悦城店において、客の母親が幼児にテーブルの上で排尿させ、それを透明カップで受け止める事象が発生しました。店員はこれを2度目撃しながら制止しませんでした。
店員は「一般従業員なので制止する権限がない」と回答しました。これは、衛生を脅かす状況への即時制止という公式方針と、現場対応との乖離があった事例です。店舗側はこの事実を認め、事後処置として座席変更、消毒、および使用食器の廃棄を実施しました。
中国外食市場の構造と他社事例
中国の外食市場には、消費者の投稿がSNSで拡散され、メディア報道を経て短時間で当局検査へ連動するリスク可視化のメカニズムが存在します。
低価格・高回転業態では、客数増による食器回転率の上昇や厨房作業の高密度化により、管理に死角が発生しやすくなります。また、人件費・原材料費の圧力から短期損益を優先し、期限管理などの基本管理が疎かになりやすい課題があります。
他社においても、同様の衛生管理問題が発生しています。
- ハイディーラオ:2017年に北京店舗で厨房内にネズミが発生したことが発覚し、全店点検を実施。
- ミーシュエ・アイスシティ:2025年に前日カット果物の使用が報じられ、店舗閉店や解雇に至った。
- ウォレス:2025年に期限切れ食材の表示貼り替えなどが発覚し、店舗閉店や解雇に至った。
当局の規制と今後の事業リスク
当局の監督視点は、店舗単位の衛生管理から、本部による統合的な管理体制(本部統治)へと移行しています。2025年には「外食チェーン企業向け食品安全責任に関する規定」が公表され、本部の実地確認責任が明記されました。
浙江省の行政処分では、12店舗中6店舗で不備が確認され、5店舗に是正命令、1店舗を調査対象としました。杭州店舗に対しては、違法所得の没収および罰金として合計66,446.33元が科されました。
今後のリスクとして、中国国内での反日感情の広がりや、消費者保護番組「315晩会」の標的となる可能性が挙げられます。また、マグロの寄生虫卵に関する当局調査などの新たな問題もあり、信頼失墜による客足減少および業績悪化の懸念があります。
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