研究者・著者情報
牧田習は東京大学大学院農学生命科学研究科の博士課程1年生である。2020年入学、2022年修士課程修了、2025年に博士課程修了報告を行った。所属はオスカープロモーション(2018年9月加入)。1996年10月14日生まれ、兵庫県宝塚市出身。幼少期から昆虫に関心を持ち、3歳で祖父からミヤマクワガタを受け取り、沖縄で蝶の採取体験を行った。高校時代に日本甲虫学会と日本昆虫学会に参加し、大学では昆虫サークルに所属。大英自然史博物館・オックスフォード大学の研究者と共同研究し新種を発表した。現在はルリモンジャノメという蝶を研究対象としている。特技は三線、沖縄民謡、スキューバダイビング、演奏活動である。NHK、Eテレ、ラジオ GOGO RADIO、各テレビ番組に出演し、自然や生き物へのリスペクトが高い人は昆虫保全に協力しやすいと主張している。
書籍情報
『昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99』はKADOKAWAから2023年4月28日に出版された。定価は1,430円(本体1,300円+税)で、判型はA5、144ページ、ISBNは9784046822956である。全27回の構成で昆虫雑学を紹介し、オオゴキブリの解説も含む。目的は昆虫の驚きと保全意識の拡大である。
オオゴキブリ(Panesthia angustipennis spadica)の形態と生態
体長は成虫で40–45 mm。
雄は37–41 mm、雌は38–41 mm。
前胸背板幅は雄が13–14 mm、雌が12–14 mm。
前翅長は雄が30–42 mm、雌が30–33 mmで、多くは切断されている。
触覚は約16 mmで、脚は短い。
体色は黒く光沢があり、触覚と脚が短い。
前翅は腹端まで達すが切断が一般的で、後翅は発達しているが飛翔性は極めて低い。
雄は前胸背に1対の牛角状突起を持ち、雌にはない。雄は第8腹節が視認でき、雌は不可である。
幼虫は黒色で胸背板に1対の赤褐色の紋がある。成長期間は4–5年で数回越冬する。
成虫の寿命は2.5〜3年である。
雌は7–8月に年1回産卵し、最低3回産卵する。1回の産卵で23–27個の幼虫を産む。
食性は腐朽した木材で、腸内共生微生物がセルロースを分解する。
清浄な原植生の照葉樹林の倒木や枯株の朽木で家族単位のコロニーを形成し、集合的に営巣する。他個体の翅をかじって破損させる行動が観察されている。
分布と生息環境
日本本州の青森県深浦町以南、四国、九州、隠岐諸島、佐渡島、壱岐島、対馬島、五島列島(中通島)、屋久島、種子島、台湾に分布し、北海道には生息しない。
主に清浄な原植生の照葉樹林の倒木・枯株の朽木を利用する。常緑照葉樹林への従属性が高く、落葉広葉樹林や針葉樹林にも出現する。利用頻度が最も高い朽木はスダジイで、次いでアカマツ、モミ、コジイ、ウラジロガシ、アカガシ、マテバシイである。
環境要因と脅威
森林伐採と地球温暖化が朽木の状態を悪化させ、生息環境を縮小させている。さらに自然破壊により美しい森林が減少し、棲息地が縮小している。上記の保護状況は、生息地減少が直接的な脅威となっていることを示す。
- 宮城県・青森県・石川県:絶滅危惧II類指定
- 愛知県:準絶滅危惧種(NT)指定
- 千葉県:一般保護生物指定
- 栃木県:要注目種指定
- 富山県:情報不足とされる
保全課題と提言
採取が困難であることは、正確な分布情報の取得を妨げ、保全対策の策定を難しくしている。生息地の減少が主因であり、保全対策が必要である。採取難易度は★3(★★★)と評価され、調査が困難である。
環境や生き物へのリスペクトが高い層への教育・情報提供(書籍やトークショー等)が保全意識の向上に資する。森林保全と朽木の維持管理の重要性が指摘されていることが、具体的な保全提言となる。
関連研究・文献
- 朝比奈(1988)は幼虫の赤褐紋に基づきヤエヤマオオゴキブリ(*Panesthia angustipennis yayeyamensis*)を別亜種として記載。
- Maekawa et al.(1999)は同種を*P. angustipennis spadica*のシノニムと提案。
- X Wang et al.(2014)は斑点のみでは不十分とし、シノニム扱いを支持。
- Beccaloni(2014)は5–6地域亜種が知られると報告。
食用・文化的評価
- 内山昭一はオオゴキブリが素揚げまたは唐揚げで食べられると述べている。
- 柳澤静磨は焼いたオオゴキブリに苦味はあるが香ばしく、味は悪くないと評価している。
メディア・イベント
- 2023年4月28日:『オドロキ!!昆虫雑学99』出版。
- 2024年7月21日:名鉄トヨタホテルで「昆虫ハンター牧田習のトークショー」開催。
- 2024年8月12日・14日:札幌丸井今井で「世界一美しい昆虫展」特別企画(トークショー、クイズ大会、サイン会)。
- 2025年3月24日:Instagramで博士課程修了を報告。