新規症例と重症・死亡者数
中国疾病予防統制センター(CDC)は2026年7月に約52万2千件の新規COVID-19症例を報告した。重症患者は487人、死亡者は呼吸不全による1人である。
門急診発熱患者数の増加
同期間に二級以上医療機関で受診した発熱患者数は、5月が39千件~59千件、6月が58千件~65千件、7月が41.8万件~59.5万件と増加した。この増加は新規症例の増大と時間的に一致している。
検体検出率と臨床陽性率の推移
中国疾病管理庁が第33週(9月9日〜15日)に全国106医療機関で採取した検体の新型コロナ検出率は9.1%であった。前週は5.7%、第30週は3.2%であり、約2.8倍、3.4ポイントの上昇が確認された。
同期間に標本監視病院(全国1,041箇所)が報告したインフルエンザ様症状患者のCOVID-19陽性率は、7月末に21.2%に達した。週次の陽性率は以下の通りである。
- 第27週:8.2%
- 第28週:11.2%
- 第29週:15.3%(外来・救急症例の陽性率は16.3%)
- 第30週:19.5%
- 第31週:21.2%
検体検出率の上昇と臨床陽性率の上昇は同一の流行傾向を示す。
ウイルス遺伝子情報と系統占有率
全国31省・自治区・直轄市・新疆生産建設兵団が報告した有効ウイルスゲノム配列は11,204件で、すべてオミクロン系(主にNB.1.8.1系統)である。
NB.1.8.1系統の占有率は第27週から第31週にかけて以下の通りで、全体の大多数を占めた。
- 第27週:98.2%
- 第28週:98.9%
- 第29週:99.2%
- 第30週:99.4%
- 第31週:99.0%
重大な新規変異株は検出されず、公共衛生リスクは低いと評価された。
公的対応と政策
中国当局はCOVID-19を「乙類乙管」に格付けし、年間1〜2回の流行波が常態化すると公式に説明した。現在の流行は「周期的変動の範囲内」の「高峰平台期」と位置付けられた。
中国CDCは、医療受診時のマスク着用、手指衛生、バランスの取れた生活様式、免疫低下リスク群へのワクチン接種を推奨した。
医療リソースと患者体験
北京内のすべての薬局で抗ウイルス薬の在庫がなく、宅配でも入手が困難であると報じられた。
三甲病院で販売されている抗ウイルス薬は、1瓶で約400元、成年用1箱で470元であり、18歳未満への処方は行われない。
救急外来での患者体験は以下の通りである。
- 診察待ち時間:約2時間
- 検査結果待ち時間:約1.5時間
- 再診までの待ち時間:約1時間
発熱患者数と陽性率は上昇しているものの、重症患者は限定的であり、医療機関全体への顕著な影響は確認されていない。
専門家・世論の評価
専門家は、陽性率が20%を超えると「高流行レベル」に移行すると警告した。
元米陸軍微生物学者の林暁旭は、公式数字は氷山の一角である可能性があると指摘し、情報公開の不透明さが重症・死亡者数の評価を妨げていると述べた。
微博やその他のオンライン掲示板では、7月の確診件数に対して「データに水分がある」「死亡1例は不自然」といったコメントが相次いでいる。
歴史的比較とトレンド
発熱患者数は2025年12月の18.3万件から2026年1月の41.8万件へ増加した。2025年9月から12月までの新規COVID-19確診件数は15,129件から164,625件と変動し、2026年7月の52.2万件は過去2年間と同程度の規模である。
陽性率は第30週の3.2%から第31週の5.7%、第33週の9.1%へと2.8倍に上昇し、週次で3〜4ポイントの伸びが認められた。
課題と今後の見通し
本波は主に軽症が多数であり、重症リスクは高齢者および慢性基礎疾患者に限定される。重症患者は487人、死亡者は1人であり、公共衛生上の緊急リスクは低いと評価された。
現在は「高峰平台期」にあるが、季節的な波動により年1〜2回の増減が予測される。NB.1.8.1系統の監視は継続され、重大な変異が出現した場合に備えた迅速な対策体制が求められる。
#中国CDC #COVID19 #オミクロン系 #高峰平台期 #発熱患者増加