2026/08/30

農林水産省が挑む米国産ジャガイモ 21種リスク管理


農林水産省の手続きとリスク評価

2023年8月28日、米国産ジャガイモの輸入解禁検討手続きの一環として国内侵入リスクがある病害虫を21種特定した。

同日、オンライン説明会で評価結果が提示された。

結果を受けて最終工程である「病害虫リスク管理」へ移行した。

特定された21種の病害虫

構成は害虫14種と菌類・細菌等7種である。

ジャガイモシロシストセンチュウ(Globodera pallida)

2015年に北海道網走市で国内初確認された。

根が土壌中でシストを形成し、長期生存・根絶が極めて困難である。

2016年10月から緊急防除が実施され、対象範囲は斜里町・清里町へ拡大した。

関係者の発言と姿勢

  • 農林水産大臣(鈴木憲和)―2023年8月28日閣議後会見で「侵入は許さない」と表明し、毅然とした姿勢で協議に臨む旨を強調した。
  • JA北海道中央会(樽井功会長)―2026年8月18日に「断じて容認できない」と声明した。
  • 北見地区農民連盟―2026年8月19日に8892件の署名で輸入解禁に反対した。
  • JA全中―輸入解禁の前提条件として病害虫リスクを「ゼロ」にすることを要請した。

日本国内のジャガイモ生産と需要

2024年産の総生産量は約230万トンで、全国生産量の約78%を占める。

作付面積は約7万900ヘクタールで、全国作付面積の約66%に相当する。

年間国内需要は約350万トンである。

用途別構成は加工食品用が52%、でん粉原料用が21%、生食用が15%である。

輸入ジャガイモは加工食品用で全体の約2/3を占め、生食用は国内需要の約15%にとどまる。

米国側の要請と交渉の経緯

米国は1980年代から日本への生鮮ジャガイモ輸入解禁を要請し、2006年にポテトチップス用限定輸入を認可した。

2020年に一般流通用ジャガイモ輸入解禁が再度要請された。

トランプ政権(2025年以降)は関税交渉と連動させて日本市場への輸入解禁圧力を行使した。

米国内議員68名が大統領宛に日本市場開放を求める書簡を送付した。

今後のスケジュールと検疫措置策定プロセス

農林水産省は、輸入解禁までに2〜3年要すると見込んでいる。

見込期間中に複数回の説明会が開催される予定である。

病害虫リスク管理工程では、特定された21種について侵入防止策を具体化し、有識者の意見を取り込み、検疫基準・手続き等の輸入解禁条件を最終決定する。