事件概要
2026年8月25日正午前、東京都中野区の中野ブロードウェイ内時計店「TIME WALKER」のショーケースがハンマーで破壊され、約10秒で窃盗が完了した。盗まれたのはリシャール・ミル製が3本、パテック・フィリップ製が1本の計4本で、総額は約2億円に上る。
店内には従業員5人がいたが負傷者はなく、来店客もいなかった。破損したショーケースは後に除去された。
使用されたツール・サービス
- ハンマー – ショーケース破壊に使用された凶器。
- 電動キックボード(Luup) – 事件前後にJR中野駅周辺で約5分間レンタルされ、犯行および逃走に利用された。使用後は現場付近に放置された。Luupは警察に利用データの提供と全面協力を表明したが、利用者特定や経路追跡に関する個別具体的な回答は控えている。
容疑者
ピニャ・グスマン・ジェレミー・パオロ(23歳、チリ国籍)は、2026年8月21日シドニー発の羽田便で日本に入国し、同日から短期滞在を開始した。8月23日に電動キックボードを約5分間レンタルし、店舗の下見を行った。8月25日午前11時11分にJR中野駅に到着し、約25分後にキックボードで現場へ向かった。
マンサーノ・ケサダ・ボリス・アレクシス(33歳、チリ国籍)も同様に8月21日入国、8月23日下見、8月25日キックボードで現場へ向かっている。
ピニャは「盗んだのは1本だけで、残りは落とした」と供述し、共犯者は存在しないと主張した。マンサーノはピニャと共謀し、盗んだ時計を売却して金銭化し母国へ持ち帰る意図を認め、逃走中に残り3本を落としたと供述した。
捜査・逮捕
警視庁は8月25日11時50分頃に事件を確認し、捜査を開始した。8月27日夜、大阪市内の民泊施設で2容疑者を逮捕した。逮捕時にリュックとスーツケースを所持し、パスポート類を警察官に手渡す映像が記録された。
押収された時計は2本で、うち1本は被害品と同型、もう1本は別の時計である。8月28日に同民泊施設の家宅捜索を実施したが、残り3本は未発見のままである。8月29日に容疑者は検察へ送致された。
被害品の評価と回収状況
対象時計はリシャール・ミル製が3本、パテック・フィリップ製が1本で、1本あたり約2,900万円から6,500万円の評価額が付いている。個体番号が刻印されており、国内の買取店で盗品情報と照合できる。
逮捕時に押収された2本のほか、大阪市内の民泊施設から別の高級腕時計1本が発見された。残り3本は未回収で所在が不明である。
市場への影響と課題
中野ブロードウェイは20店舗以上が集積する「時計の聖地」と呼ばれる高級時計販売拠点である。本事件の影響で近隣店舗はシャッターの部分的閉鎖と警備強化という防犯対策を実施した。
盗品は個体番号により追跡可能であるため、換金リスクが高い。シェアードキックボードの利用履歴は捜査上の重要情報であるが、プライバシー保護が課題として指摘されている。
今後の展望
警視庁は残り3本の所在特定と、受け渡し・指示役の捜索を継続している。
Luupは利用データ活用とプライバシー保護のバランスに対応している。
高級時計店は防犯対策の強化とリスクマネジメントの見直しが求められている。
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