2026/08/23

つり革形状と安全性〜歴史・地域別採用の全貌徹底解説


つり革の形状と機能

丸型つり革は角がなく、衝突時のダメージが少ない。輪部分が回転し、汚れた箇所を避けて持ちやすい。主に列車進行方向と平行に設置される。

三角型つり革は手のひらに力がかかりやすく、持ち手が回転しないため体重を預けやすい。手首の自然な向きで握りやすく、姿勢が安定しやすい。主に列車進行方向に対して直角(枕木方向)に設置される。形状例は正三角形(おにぎり型)と長形三角形(アイロン型)である。

たまご型は線路と直角方向に設置され、手首が内側に入りやすい。楕円型は線路と平行方向に設置され、腕が安定しやすい。

つり革の歴史と起源

つり革は19世紀イギリスで、立ち客が安全にバランスを取るために発明された。初期は革製が主流であった。

材料・製造・規格

材料の変遷は次のとおりである。

  • 旧:革製
  • 現:PVC被覆キャンバス、ナイロンストラップ+プラスチック握り
  • 地下鉄車両:火炎にさらされても滴下しない素材

日本国内では三上化工材株式会社(「トヨサンベルト」)が過半数のシェアを保持している。

規格はJIS E4011がつり革を「つり手」と定義している。欧米規格ではつり革の寸法は未規定であり、手すりの径が規定されている。

地域・路線別の採用傾向

関東近郊では三角型が多く、関西圏では丸型が多い。

東京メトロと名古屋市交通局は三角型を「自然な姿勢で握りやすく、疲れにくい形」と公式に紹介している。関西圏の鉄道会社は車体サイズに合わせ乗客1人あたりのスペースを小さくできる点から、一部で三角型を採用している。首都圏各社はラッシュ時の安全対策としてつり革増設を積極的に実施している。関西の鉄道ではつり革数が少なく、新型車導入時に握り棒が撤去された例がある。

海外・特殊形状の例は以下のとおりである。

  • タイ王国(BTS・バンコク・メトロ):ベルトタイプ(革ベルト)
  • 京都市電:籐製つり革が動態保存車に吊り下がる
  • 東急1000系電車 1317F:木製つり革
  • マルタ島のバス:縄を巻いた「グルグル巻き」型
  • ロンドン・香港:球形つり革の採用例あり

安全性と疲労軽減の根拠

JR福知山線脱線事故において、乗客証言でつり革・手すりが被害軽減に寄与したことが確認されている。設計は身長差・混雑・揺れを想定して行われる。

人間工学的評価は次のとおりである。

  • 丸型:どの角度からでも掴みやすく、急揺れ時に瞬時に手が届く。
  • 三角型:手首の自然な向きで握りやすく、長時間立つ際に疲れにくい。

市場・課題・展望

形状が混在する車内は、検査・交換・新型車両の試験導入など更新過程での一時的現象が主因である。

1990年代末期以降、長さの異なるつり革が互い違いに配置された例がある。E531系・E233系では優先席付近の取り付けパイプが低く設置されている。

2015年秋に大量のつり革が盗難・引きちぎりされる事例が報告されている。新品価格は約2,500円である。中古価格は100〜200円程度である。

米リコ社が開発したリコ式は剛構造で、コイルばねにより跳ね上がる。揺れで網棚や手すりに当たらない。導入例は東京地下鉄道とNYCTAであり、2022年時点で2200系・6000系・7200系に一部設置されている。

たまご型・楕円型などの向き工夫が導入されている。