2026/08/23

米・カナダ貿易摩擦、50%関税で決裂と制裁合戦激化


交渉経緯と決裂

2024年3月21日夜、カナダ政府はカーニー首相のもと交渉中断を発表し、米製品に対し同額の50%報復関税を課すと宣言した。直前の米側条件変更を「不公正・経済合理性に欠く」と批判した。

交渉は1年以上にわたり関税撤廃・引き下げを目的に断続的に協議されたが、2026年8月21日夜に再度交渉停止を表明し、米製アルコール製品の各州への店頭復帰を要請した。

関税措置

米側は2024年7月に約200億ドル相当のカナダ輸入品に対し2024年8月19日までに50%関税を課すと脅迫した。

2026年7月にも同額(約280億カナダドル)を対象に同様の関税を2026年8月19日までに実施すると再度脅し、2026年8月18日に合意進展を理由に3日間延期したが、8月22日に関税を発動した。

新たに課される米側関税の対象品目はワイン、乳製品、セメント、衣料品、ホッケー用品など幅広い。既存関税は鉄鋼・アルミニウム・銅に対し15%~50%、針葉樹材に35%、非米製自動車部品に25%が適用されている。

2026年8月22日発効予定の追加関税は対象額約200億ドル(約3兆1800億円)に対し50%である。

カナダは米製品全般に対し同額の50%報復関税を課す方針を表明し、「もうアメリカ製品は必要ない」という声明と共に実施意向を示した。

米側はカナダ産鉄鋼・アルミニウム関税を50%から25%、自動車関税を25%から15%に引き下げる案を提示した。カナダ側は米製自動車に残存する報復関税の撤廃と米チーズ市場アクセス拡大を要求した。

以下に、関係者が公表した主要な声明を示す。

主要関係者の声明

  • カーニー首相は米側条件変更を「不当」かつ「信頼性を揺るがす」と非難し、同額の報復関税を課すと明言した。
  • ドナルド・トランプ大統領は1930年関税法に基づき最大50%の追加関税権限があると主張した。
  • 米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表はカナダ側の新要求を「合意崩壊の原因」だと批判し、カナダの対抗関税を「容認しない」と表明した。
  • アメリカ商工会議所は関税引き上げが両国経済に損害を与え、米家庭のコスト上昇、サプライチェーン混乱、USMCA依存の1300万人雇用を危険にさらすと警告した。
  • カナダ調査会社アバカス・データの調査では、カナダ国民の約36%が報復関税を支持し、約30%が交渉継続を希望した。

経済的影響

カナダ側では対米輸出額同額(約200億ドル、約3兆1800億円)が影響を受け、ワイン、乳製品、自動車部品等の主要産業の米市場アクセスが縮小する。

米側ではカナダ製品への高額関税により国内消費者価格が上昇し、サプライチェーンが混乱し、USMCA関連雇用に影響が及ぶと指摘されている。

法的根拠と背景

1930年関税法は米国が外国の差別的待遇に対し大統領に最大50%の追加関税権限を付与している。トランプ大統領はこの条項を根拠にカナダへの関税を正当化した。

USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)下での関税引き下げ・撤廃交渉が背景にあり、合意不成立は協定の安定性に影響を与える。