2026/09/04

外国人犯罪の現状と公用文書毀棄罪、不起訴の構造と救済策


外国人犯罪の統計と現状

法務省の令和6年版犯罪白書によると、2023年の起訴率は全体で36.9%に対し外国人は41.1%であり、2014年から2023年の10年間、一貫して外国人の起訴率が全体を上回っています。

東京新聞の報じた検挙人数の推移(2004年→2023年)では、全体的な検挙数が14,766人から9,726人と34%減少した一方、殺人や強盗などの凶悪犯の検挙数は247人から361人と約1.5倍に増加しています。

また、警察庁は2024年、SNS型投資・ロマンス詐欺および特殊詐欺の被害額が約1,990億円に達し、前年比2倍超で過去最悪となったことを発表しました。このうち2023年のロマンス詐欺被害額は約177億3,000万円です。

公用文書等毀棄罪の法的定義と基準

公用文書等毀棄罪(刑法258条)は、公務所の用に供する文書または電磁的記録を毀棄(破棄・焼却・抹消等)する罪です。被害者の告訴を必要としない非親告罪であり、罰則は3月以上7年以下の拘禁刑と定められています(2025年6月施行の改正刑法による一本化)。

判例に基づく「公用文書」の範囲は以下の通りです。

  • 作成者や目的を問わず、公務所で現に使用または保管されている文書(最高裁昭38)
  • 署名捺印がない弁解録取書であっても該当し、投げ捨てる行為は「毀棄」にあたる(最高裁昭32)
  • 作成中の文書であっても、意味・内容を備えていれば該当(最高裁昭52)
  • 保存期間が経過した文書であっても成立(大審院明42)

過去の有罪判例には、パトカー車内で交通切符を引き裂いた被告人への有罪判決(秋田地裁平9)や、裁判所の競売記録を自宅に隠匿した事案(大判昭9)があります。

取り調べ中の調書毀棄と不起訴事例

松江地検(浜田支部)は、公用文書等毀棄の疑いで逮捕されていた大田市在住のブラジル国籍の男性(42歳)を、9月2日に不起訴処分に決定しました。この男性は8月9日、任意取り調べ中に調書を引き裂き、使用不能にしたため逮捕されていました。松江地検は不起訴の理由について、「諸般の事情を考慮したため」と発表しています。

外国人の刑事不起訴における構造と救済策

外国人が刑事事件で不起訴となる要因には、以下の法的・構造的背景があります。

  • 行政処分の優先:不法残留等の場合、刑事処分より入管法24条に基づく退去強制が優先される。出入国在留管理庁も2024年5月の「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」により排除を加速させている。
  • 立証の困難さ:国際的組織犯罪において、主犯の所在不明や共犯関係、送金経路の追跡が困難であること。
  • その他の要因:証拠不十分、通訳手配の困難、本国送還による事実上の処分など。

具体例として、覚醒剤密輸および国際ロマンス詐欺で逮捕されたオルジ・フランシス・アフィポ容疑者や、ナイジェリア人グループリーダー格として覚醒剤約5.7kgの密輸容疑で逮捕されたエボ・ジェレマイヤ容疑者が、いずれも不起訴となっています。

不起訴処分に対する救済策として、司法上は検察審査会による審査があり、2回の「起訴相当」議決で強制的に起訴させる制度が存在します。また、民事上は刑事不起訴であっても「高度の蓋然性」があれば、民法709条(不法行為)、703条(不当利得返還)、415条(債務不履行)に基づき請求が認められる可能性があります。