2026/09/04

選挙権なしに投票用紙を誤交付?有効票の判断基準と電子投票の課題


選挙権のない人物への投票用紙誤交付事例

複数の自治体において、選挙権のない人物に投票用紙が誤交付される事案が発生しています。

沖縄市選挙管理委員会では、市民1人に投票所入場券および投票用紙を誤交付しました。原因は、選挙人名簿の確認を1人で行っていたこと、および委託業者がシステムの警告を見逃したことです。過去の県議選や参院選でも同様の誤交付が発生していました。再発防止策として、本人および関係者への謝罪を行い、今後は複数人での確認を徹底します。

福岡県大川市選挙管理委員会では、受け付け担当者が、生年月日の同一人物(投票権あり)と勘違いし、選挙権のない女性に投票用紙を誤交付しました。これに伴い、誤って投票済みとされた本来の有権者のシステム情報を補正し、投票を可能にしました。

大阪府高槻市選挙管理委員会では、府外へ転出し選挙権がなくなった女性に投票用紙を誤交付しました。この女性は入場整理券を受け取るまでは高槻市に在住していました。投票後に担当者が名簿の転出記載に気付いたことで発覚しました。

投票の有効性に関する法的判断と処理

上述の誤交付事例では、投函後の投票用紙は個別の特定が困難であるため、有効票として処理されています。

公職選挙法および最高裁判決(1952年)では、候補者以外への記載は原則として無効です。ただし、「投票者の意思が明白」であれば、なるべく有効とするべきとされています。また、公職選挙法第209条の2に基づき、本来無効な票が有効に算入され、かつ帰属不明な票がある場合は、得票数に応じてあん分して差し引く調整が行われます。

通称やあだ名の記載に関する判断例は以下の通りです。

  • 有効と判断された例:2005年の徳島県鳴門市議選における「バンド ヒゲ」は、トレードマークであるため有効とされました。
  • 無効と判断された例:1975年の新潟県両津市議選における「酒屋」は、限定的な機会での呼称であるため無効とされました。また、昨年11月の神栖市長選挙における「まんじゅうや」「だんごさん」は、通称として広く認められず無効とされました(茨城県選管裁決。現在東京高裁にて争訟中)。

総務省は、地域人口や風土、候補者の状況が異なるため、投票効力の判断に全国一律の指針は設けていません。

投票方式の現状と電子投票の課題

記述による解釈の余地を減らすため、記号式や電子投票へ移行すべきとの専門家の主張があります。白鳥浩教授は解釈の少ない方法への移行を、小島勇人理事長は高齢化による手書き困難者への対応や意思の正確な反映が可能になる点をメリットとして挙げています。

地方自治体電子投票特例法(2002年)により、条例制定で電子投票の実施が可能です。2025年8月25日時点での全国実施回数は27回ですが、端末のリース料などの高額なコストが普及の障壁となっています。

不正投票に関する過去の訴訟例

昭和26年の千葉市議会議員選挙において、当選者による虚偽証明書を用いた不正投票(25票)があったとして、原告(浅尾国一ら)が当選無効を求めた訴訟がありました。東京高等裁判所は、異議申立および訴願の手続きを適切に経た証拠がないとして、「不適法な訴え」として却下しました。