集団調停の申し立て
2024年27日と2026年8月27日に、40代から80代の男女79名が東京簡易裁判所に対し、ネット証券の口座乗っ取り被害に関する集団調停を申し立てた。
申し立ては、株式の原状回復(返還)と全額補償を求める内容である。
代理人弁護士は野崎智裕氏と河合弘之氏で、顧客に過失がない限り原状回復が原則であると主張した。
被害者の主張
代表の堤昭仁氏(74歳)は、全保有株式が本人の意思に基づかない売却により失われたと主張し、証券会社のシステム防御態勢に脆弱性があることを指摘した。
別の被害者(78歳男性)は、約3,000万円で取得した株式を失い、証券会社が提示した半額補償が不当であると訴えている。
全被害者は、口座残高がすべて消失し「もぬけの殻」状態であること、売却が本人の意思に基づかない不正取引であることを共通して指摘し、原状回復と全額補償を要求している。
証券会社の対応と補償方針
調停の相手として指定されたネット証券は、SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券の4社である。
4社は株式の返還は行わず、被害額の50%を金銭で補償する旨を表明した。
- SBI証券:調停申し立て書を受領していないためコメント不可。
- 楽天証券:通知を受け取っていないためコメント不可。
- 松井証券:申し立て書を確認しておらずコメント不可。
他証券会社の姿勢
対象外の大手証券である野村証券と大和証券は、原状回復(株式返還)を原則とする方針を公表している。
金融庁の統計と被害の時期
2025年1月から2026年7月までの不正取引件数は10,607件(別統計では19,142件)である。
総不正売買額は約8,200億円であり、不正アクセスは2025年春頃から急増し、2025年3月以降に多数の口座乗っ取りが発生した。
不正アクセスの手口と対策動向
主な手口はフィッシングである。偽ウェブサイトへ誘導し取得したID・パスワードで不正取引を実行し、株式を無断で売却する。
対策として、生体認証(顔認証・指紋認証)を含む二要素・多要素認証の導入が検討・導入段階にある旨が報告されている。
裁判例と今後の法的展開
2023年3月の東京地裁判決では、不正アクセス・不正売買に関与した男性に対し、懲役3年(執行猶予5年)・罰金400万円・追徴金約7,800万円が言い渡された。
代理人弁護士は追加の調停申し立てを計画している。補償方針は原状回復を求める側と半額金銭補償を提示する側に分かれており、裁判所の判断が注目されている。
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