2026/09/01

外資資産運用大手が続く中国撤退、Fidelityは失速


Fidelity Internationalの中国事業の現状

運用資産は約1.18兆ドルである。

内部資料では収益確保に140億ドル以上が必要と算出されていた。

実際に集めた資産は約6億7,000万ドルで、目標の5%未満にとどまっている。

2023年に上海でホールオウン子会社を設立し、同年に中国ファンドを開始した。

設立から3年が経過したが、目標規模を大幅に下回っている。

現在、最終審議と規制当局の承認が必要な完全撤退を検討している。

主要外資系資産運用会社の撤退・縮小状況

  • Vanguard
    • 従業員約20,000人、RIA資産規模約2,430億ドル
    • 2023年に上海オフィスを閉鎖
  • Schroders
    • 全体AUMは1.1兆ドル
    • 2023年に全額出資の中国ファンド部門を設立
    • 2026年時点の運用資産は約2億5,000万ドル
    • 2025年5月にNeuberger Berman子会社へ売却計画を進めている
  • Legal & General
    • 2024年に中国事業の営業許可取得計画を中止
    • 上海拠点を約80%削減
  • BlackRock
    • 2021年に中国ファンドを設立
    • 初週で10億ドルを調達
  • JP Morgan Asset Management China
    • 外資系最大の公募ファンド
    • 運用資産は340億ドル
  • Manulife China
    • 運用資産は170億ドル
  • Morgan Stanley China
    • 運用資産は45億ドル

中国公募ファンド市場と競争環境

市場の総規模は5.9兆ドルで、国内資産運用会社が支配している。

上位11社の管理資産は各社1,470億ドル以上である。

国内上位15ファンドのリターンは90%以上(Yicai)と報告されている。

JVから完全出資へ転換した外資系ファンドの約1/3が年率10%超を達成している。

2023年6月時点の新規外資系ファンドは年初来リターンが5%未満で、国内ファンドに大きく劣っている。

撤退・縮小の主な要因

  • 需要不足
    • 個人投資家のリテール需要が低い
    • FidelityやSchrodersは目標資産規模に到達しなかった
  • 競争と規制
    • ロイター報道による現地競争の激化と頻繁な経営陣交代
    • 2023年6月に中国証券監督管理機構がアルゴリズム取引規制を強化し、外資系取引手法に制限を課した
  • 経営・スケール課題
    • Fidelityは内部算定で140億ドル超の資産が必要としたが、実績は目標の5%未満に留まった
    • Schrodersは設立から3年で資産が2億5,000万ドルにとどまり、2025年に売却計画を実施している
  • 歴史的・制度的背景
    • 1979年以降、中国は段階的に外資系金融機関の参入を許可したが、国内銀行が支配的地位を維持している
    • 1949年以降の共産党政権下で外資系銀行は大幅に撤退し、残存はStandard CharteredとHSBCのみである

影響と今後の展望

Vanguard、Schrodersを含む多数の大手が中国市場から撤退または規模縮小を実施した。

外資系リテール事業の縮小に伴い、国内資産運用会社の市場支配がさらに強化される見通しがある。

Yicaiは、外資系が競争力を維持するためにローカライズが必須であると指摘している。具体的には、運用・調査・投資・販売チームのローカライズが求められる。

Fitch Ratingsは、外資系が中国リテール市場で高付加価値層に注力すべきと助言している。

2026年6月に実施されるアルゴリズム取引規制強化は、外資系トレーダーの取引環境を制限し、撤退決定を後押しする可能性がある。