2026/09/01

政府備蓄米80万トン早期買戻しと所得補償の全貌


政府・政策の概要

農林水産省は1995年に法律で制定された備蓄米制度に基づき、備蓄米を約100万トンに回復させる方針を示している。

2025年の大規模放出で在庫は約32万トンに減少した。2026年産米の買い入れと新米入庫により、秋以降は約53万トンまで回復する見込みである。

減反政策の廃止と併せた所得補償の検討が進められ、試算額は約8千億円となっている。

高市早苗首相と鈴木憲和農水相には、2023年10月26日に百姓一揆inにいがたから「政府備蓄米の機動的運用および早期買い入れ」を求める緊急声明が郵送された。

政府備蓄米制度の仕組み

主要食糧法に基づく棚上備蓄方式では、毎年20〜21万トンを入札で買い入れ、5年持ち越しで入れ替える。

保管コストは1トンあたり約49,000円(2021年度決算)である。

日本共産党の要請

2026年7月29日に、日本共産党は放出された59万トンと中止された21万トン計80万トンの早期買い入れを要請した。

併せて、米価が生産コストを下回った際の農家への補填も求めている。

備蓄米在庫の変動

2025年の放出総量は約64万トンである。内訳は以下の通りである。

  • 買戻し条件付売渡し 31万トン
  • 随意契約 28万トン
  • 加工原材料用 5万トン

放出された玄米約59万トンは買戻し対象となっている。2026年8月時点で、買入れ分を除く在庫は約32万トンである。

買戻し制度と入札実績

契約不履行時の違約金は130%、契約解除時は10%と定められている。

対象資格は主要食糧法第47条第2項の届出事業者で、過去1年または3年平均で5,000トン以上の玄米を仕入れた者に限られる。

買戻し期限は2025年5月に5年以内へ延長された。

2026年に実施された入札では以下の量が落札された。

  • 第1回入札(2026年4月14日) 11,710トン
  • 第2回入札(2026年4月28日) 159,722トン
  • 第3回入札(2026年5月26日) 32,757トン
  • 第4回入札(2026年6月9日) 3,332トン

合計で約20.75万トンが確保された。2025年入札価格の加重平均は玄米60kgあたり税込みで22,477円である。

農家・団体の要望

新潟県内の農家は2023年10月31日に記者会見を開催し、備蓄米の早期買い入れと制度の機動的運用を首相・農水相に要請した。

百姓一揆inにいがたは2023年7月にデモ行進を実施し、同年10月26日に緊急声明を首相・農水相へ郵送した。

日本共産党と岩渕友・紙智子は、備蓄米80万トンの早期買い入れと米価下落時の農家補填を要請した。

市場・価格・需給状況

米価の高騰は供給不足が原因と指摘されている。

増産が実施されれば米価は下落し、消費者の購買価格が低下する。

2025年の放出は需給を逼迫させたが、2026年の買入れは市場供給過剰の懸念から中止された。

現在の焦点は放出分の買戻し進捗と在庫の回復にある。

所得補償と減反政策

減反政策は生産抑制を目的としており、廃止が検討されている。

所得補償制度は基準価格を下回った際に差額を国が補填する仕組みである。

戸別所得補償は2010年代に導入され、2011年に本格実施された。

2010年度予算は約5,600億円、2025年度は約8,000億円が見込まれ、国家予算約110兆円の約0.7%に相当する。

課題と将来方針

放出された約59万トンの買戻し進捗は未確定である。

在庫回復後の約5割は長期保管米(2020〜2021年産)で、主食用供給の可否を検証する必要がある。

買戻し期限延長に伴い、価格と数量の不透明性が生じている。

政府は備蓄米を約100万トンに回復させる方針を継続し、令和9年度以降は民間在庫・海外契約在庫も含めた総合的備蓄の在り方を検討する。

2026年作柄把握(8月末)を基に、買戻し数量と価格を判断する方針が示されている。