アフリカ・ホームタウン構想の撤回と自治体への対応
2025年9月25日、独立行政法人国際協力機構(JICA)はアフリカ・ホームタウン構想を撤回した。名称と自治体認定方式が誤解・混乱を招き、認定された4市に過大な負担が生じたことが主因である。撤回に際しJICAは4市に謝罪し、国際交流促進支援は継続すると表明したが、移民促進の取組は行わず、入国・滞在管理は従来どおり法務省・入管庁・外務省が実施する。
認定された自治体は今治市(モザンビーク)・木更津市(ナイジェリア)・三条市(ガーナ)・長井市(タンザニア)である。撤回後、今治市役所には約6,000件の抗議電話が寄せられ、女子トイレへの「移民反対」落書きが確認された。三条市はガーナ政府関係者の短期視察を中止し、4市は専用Q&Aページや見解ページを設置して住民対応を行った。
メディア誤報と政府・官房の説明
海外メディアは「日本が長井市をタンザニアに捧げる」などの誤報を流し、住民の治安不安を招いた。代表的な誤情報は、ナイジェリアの日本ビザセンターがビザ発給機関であるという主張と、JICAが犯罪歴調査権限を有し移民政策を決定できるという誤解である。4市の市長、JICA、外務省は誤報の否定と訂正を要請し、報道内容は2025年8月25日・27日・29日に更新・訂正された。
内閣官房長官(林芳正)は、移民受け入れや特別査証の発給は想定しておらず、研修生は事業終了後に出身国へ帰国すると説明した。JICAは移民促進の取組を行わないことを再確認した。
青少年非認知能力向上プロジェクト
旧名称「アフリカホームタウン」から名称変更された本事業に、予算6,000万円が割り当てられた。実施主体は一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構(J‑ABS)で、担当機関はJICA東京である。
- 正式名称:青少年非認知能力向上プロジェクト ~『規律』『尊重』『正義』の涵養による社会変革モデル~
- 目的:規律・尊重・正義の涵養を通じた社会変革とジェンダー平等・正義の推進
- 対象地域:ナイジェリア連邦共和国のラゴス市、アブジャ市
- 事業期間:2026年1月開始、3年間(予定)
- 主な活動
- Baseballership™教育メソッドを用いた日本型野球指導を学校で普及させ、情動・社会的スキルを育成
- 木更津市の小中学生を対象に多文化共生・国際理解教育を3年間実施
- 採択状況:2024年度に地域活性型採択案件として採択済み。実施時期・内容は関係機関と協議中
TICADと国際背景
第9回アフリカ開発会議(TICAD9)は2025年に開催され、最大55億ドル(約7兆円)の投資と3万人のAI人材育成計画が合意された。JICAはTICAD9に合わせて2025年8月に「JICAアフリカ・ホームタウン」構想を発表した。
過去のTICADとしては、2013年のTICAD5で「ABEイニシアティブ」によりアフリカ青年1,000人が日本の大学院・企業インターンに参加し、2016年のTICAD6ではJICAが円借款を通じてケニア・リフトバレー地熱発電やモザンビーク・ナカラ港などのインフラ整備を支援した。
関係組織と支援体制
- 独立行政法人国際協力機構(JICA):日本政府の国際協力政策を担い、円借款や無償資金協力でインフラ・教育・医療など多岐にわたる支援を実施。
- 一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構(J‑ABS):野球・ソフトボールを通じた青少年育成と日・アフリカ交流を推進。Baseballership™教育メソッドで規律・尊重・正義を育成するプログラムを実施。代表理事は友成晋也(2021年「世界で尊敬される日本人100人」選出)。
- NAGOMi:外国人材受け入れ・共生環境整備の政策提言を行う民間一般財団法人。本プロジェクトへの直接関与はない。
課題と展望
住民からの問い合わせが集中し、自治体の業務が逼迫した。ナイジェリアの犯罪指数が65.9であるのに対し、日本の犯罪指数は22.6であることが安全面での懸念材料として指摘された。
予算6,000万円で実施される青少年非認知能力向上プロジェクトが成功すれば、非認知能力育成モデルとして他国・他地域への展開可能性がある。
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