2026/08/31

スーパーカブが選んだ究極の17インチホイール設計とは


スーパーカブの概要

スーパーカブは世界で最も売れたバイクであり、形状は約70年にわたりほぼ変わっていない。乗降性・足つき・オフロード走破性を重視した設計が販売成功に寄与している。

アンダーボーン型フレームと低車高設計

車体中央に丸パイプ(背骨)を通し、横型エンジンをその下に吊り下げたアンダーボーン型フレームを採用している。エンジン下の大きなまたぎ空間により乗降が容易になり、上方スペースはレッグシールドと合致して防風効果を高める。フレームが低く通る設計は、後述の大径ホイールを導入できる土台となっている。

17インチホイールの選定根拠

乗りやすさと障害物跨ぎの安定性向上を目的にホイール径を検討した。

大径にすると車高が上がり、操作性が低下する。

小径にすると段差や荒れた路面での走行が不利になる。

このバランスを考慮し、直径17インチが最適と判断された。

専用タイ輪の開発

1950年代の日本国内市場では17インチタイヤが流通していなかった。

本田宗一郎の「無いものは作ればいい」という信念に基づき、社内で専用17インチタイヤの製作が指示された。

スーパーカブ用に開発された専用タイヤは跨ぎ安定性をさらに向上させた。

当時の市場背景とホンダの差別化戦略

バイク市場の主流タイヤサイズは19インチ・24インチで、17インチは一般的でなかった。

日本の舗装率が低く、荒れた路面走破性が重要視された。

既存スクーターは小径タイヤ・低車高で走破性に課題があった。

ホンダは50ccクラス感覚で大径の17インチホイールを採用し、競合との差別化を図った。

タイヤメーカーに説得し、専用サイズの17インチタイヤ製造を実現した。

実装事例と市販部品

  • 2014年4月26日にスーパーカブ110プロの17インチホイール交換を実施。フロントの取り付けに時間がかかったが、リアはスムーズに装着できた。
  • クリアランスはギリギリだったが問題は生じず、クロスカブ用フェンダーに交換すれば解消できると報告された。
  • 作業時間はホイール組立を含め6時間以内で、リム振れは1 mm未満で走行に影響がなかった。
  • スーパーカブ5スター キャストホイール 17インチは価格55,800円、在庫残り1点、全国一律送料無料で販売されている。
  • リム幅は前部1.4J、後部1.6J、前後ベアリングサイズはF6300・R6301、ブレーキパネルは110 mmでデカドラム車種には非適合。
  • 純正スポークホイールからの転用はチューブ推奨で、リムバンド不要で取り付け可能。チューブレス走行も可能だが、現行モデルへの直接装着には加工が必要でコストが増加する。

今後の展望

17インチサイズは最適なバランスと評価されているため、世代交代後も基本骨格として継続採用の見通しがある。

新素材・低摩耗タイヤの開発で、走破性と燃費向上が期待される。

評価と影響

手・足・座席を結ぶ三角形のライディングポジションは世代を超えて維持され、ユーザー評価は4.72(JA07モデル)と高い。

17インチホイールの採用は「操作安定性・荒れ路面走破性・乗りやすい車高・足つき性」の総合的最適解と評価され、スーパーカブの成功はこの設計選択と専用タイヤ開発に起因している。