2026/08/31

世界のペンギン18種を徹底解説!日本の飼育と保全


種類と分布

世界で確認されているペンギンは18種、6属に分類される。ほとんどは南半球に生息し、ガラパゴスペンギンだけが赤道付近の北半球に分布する。種の数が最も多い地域はニュージーランドである。

代表的な種の生態

南極でのみ繁殖するエンペラーペンギンとアデリーペンギンは、極寒の環境に適応した代表的な種である。

  • エンペラーペンギンは体長110~120 cm、体重最大45 kg、潜水深最大524 m、潜水時間最長22 分である。
  • アデリーペンギンは繁殖期に石を交換しながら浮気行動が観察される。

南米の温暖地域に生息するマゼランペンギンは脂肪量が少なく、すみだ水族館(2023年4月)の飼育実績はプール型水槽に49羽、2017年4月に13組のカップルと6羽の雛が誕生したことである。

最大種のコウテイペンギンは体長115~130 cm、体重最大約45 kgで、繁殖期のオスは卵を足の上に乗せ、約4か月間絶食して抱卵する。

最小種のリトルペンギン(フェアリーペンギン・コガタペンギン)は体長30~35 cm、体重1~1.5 kgで、夜行性で昼間は巣穴に留まり、夜に海へ餌探しに出る。

キングペンギンの体重は約18 kgで、全鳥類の中で9位の重さである。ジェンツーペンギンは時速約35 kmで泳ぎ、長寿記録は41歳141日である。

形態・生理

羽毛は1 cm²あたり約9本が密に重なり、空気層で断熱し、水を弾く油分を含む。皮膚下の厚い脂肪層が体熱損失を防止する。

足の血管は動脈と静脈が隣接し、対向流熱交換(ワンダーネット)により熱保持が行われ、寒冷時は足への血流が減少する。

高ヘモグロビン量と気嚢で酸素を貯蔵し、潜水時は心拍数が低下する。最大潜水深は約580 m、潜水時間は27分以上が記録されている。

鳴き声は低く太く、個体ごとに異なるため親子やパートナーの識別に利用され、超音波帯域も使用される。

行動と社会性

羽毛・脂肪層などの形態的特徴は高速泳ぎや長時間潜水を可能にし、ペンギンはフリッパーを広げて「イルカ泳ぎ(porpoising)」を行う。

足の筋肉と腱が支えるため立ったまま眠り、1日合計6~8時間を短時間の仮眠で確保する。

餌の時間が近づくと、個体は同じ方向に整列して泳ぎ始め、繁殖期は1〜2個の卵を産み、オスとメスが交代で抱卵する。コウテイペンギンは繁殖期以外も同じパートナーと過ごす。

すみだ水族館における飼育管理

餌は1日3回、アジやイワシを手渡しで与え、個体別に餌量を記録して健康チェックを実施する。水温は約20℃前後に保ち、プール型水槽で飼育する。

日本の飼育・展示状況

国内で飼育・展示できるペンギンは12種、合計3,000羽以上であり、世界飼育数の25%超を占める。フンボルトペンギンは70以上の施設で1,600羽以上(国内総数の約40%)が飼育されている。

長崎ペンギン水族館は現在9種を展示し、ペンギンパレードの発祥の地である。上野動物園は1915年にフンボルトペンギンを初飼育し、現在はケープペンギン1種を飼育している。安佐動物公園は2025年4月にフンボルトペンギン3羽を新加入した。

ガラパゴス、フィヨルドランド、シュレータ、スネアーズ、ロイヤル、キガシラの計6種は国内で飼育できない。

環境・保全課題

氷の融解による繁殖地の喪失と海水温上昇による餌生物分布の変化が繁殖率低下を招く。海洋汚染は毒素蓄積を通じて繁殖力と幼鳥の生存率を低下させる。

対策として気候変動への取り組み、海洋保護区の設定、プラスチック使用の削減が重要である。

歴史・文化

4月25日は世界ペンギンデーで、米国マクマード基地でのアデリーペンギン観測が起源である。Linux公式マスコットのTuxは1996年に選定され、ニュージーランド5ドル紙幣にはキガシラペンギンが描かれている。

ロンドン動物園は1870年代にケープペンギンで世界初の飼育を行い、1915年に上野動物園へフンボルトペンギンが寄贈され日本初の飼育が開始された。

進化・系統

主要な系統分化時期は以下の通りである。

  • エンペラーペンギン属:約2610万年前
  • アデリーペンギン属:約2250万年前
  • キガシラペンギン属:約1800万年前
  • フンボルトペンギン属:約1215万年前

化石種としては、体長170 cm以上のジャイアントペンギン(Kumimanu biceae)が約2610万年前に存在したことが確認されている。

面白雑学・エピソード

「ペンギン」の語源はラテン語 pinguis(太った)またはオオウミガラスの学名に由来する。

1日あたりの排泄物から笑気ガス(亜酸化窒素)が生成されることが報告されている。

ジャンプや腹ばい滑走で高速移動する「イルカ泳ぎ」や「トボガン」と呼ばれる行動が観察される。

マゼランペンギンのカップル離婚率は約3%である。