2026/09/07

沖縄県知事選:基地から経済へ、玉城氏vs古謝氏の激突と争点


沖縄県知事選挙の概要と現状

沖縄県知事選挙は、2026年8月27日告示、9月13日投開票です。候補者は6名ですが、事実上の玉城デニー氏と古謝玄太氏の一騎打ちの構図となっています。2022年の前回投票率は約57.9%でした。

沖縄県の経済指標について、2023年度の1人当たり県民所得は231万5,000円です。2026年度一般会計当初予算(9,468億円)および24年度県税収入(1,997億円)はともに過去最高を記録しました。一方で、沖縄関係予算は5年連続で3千億円台を下回っています。

辺野古移設問題は、法的な対抗手段がほぼ尽き、国が工事を進める流れが確定しました。これにより、選挙の争点は基地問題から「国と沖縄の距離感」や経済政策へ移行しています。有権者の関心も「基地問題(26%)」より「経済・観光・雇用(46%)」を重視する傾向にシフトしています。

候補者の政策対比

経済・所得向上、安全保障、福祉の各分野で、両候補は対照的な方針を掲げています。

【古謝玄太氏】

  • 経済・所得:2036年までに1人当たり県民所得500万円とする「県民所得倍増」を目標としています。観光消費額を1兆円から2兆円へ拡大し、「新5K経済」(観光、健康、環境、海洋、起業)を促進します。また、政府の「骨太の方針2026」に明記された「GW2050 PROJECTS」と連動し、2050年までに県内GDPと1人当たり県民所得を2倍以上に向上させることを目指します。
  • 安全保障・外交:辺野古移設を「現実的な解決策」として容認します。長射程ミサイルの県内配備は認めず、南西諸島への自衛隊配備は「負担軽減と丁寧な説明」を前提とします。
  • 福祉・国との関係:子育て支援予算を現県政の約2倍(1千億円)に増額し、保育料、教育費、給食費の無償化を拡充します。「沖縄政策協議会」の再開による予算の大幅増額を追求します。

【玉城デニー氏】

  • 経済・所得:10年後の1人当たり県民所得目標を291万円としています。物価高対策として総額504億円を確保し、「沖縄ゆいまーる基金(仮称)」を創設して制度の狭間にいる県民を支援します。「次世代交通ビジョンおきなわ」を策定し、鉄軌道、LRT、BRTの整備および交通・まちづくり部を新設します。
  • 安全保障・外交:辺野古移設に一貫して反対します。長射程ミサイルおよび南西諸島への自衛隊配備を認めず、「平和こそ命とくらしの原点」を柱に地域外交を推進します。
  • 福祉:18歳までの医療費・給食費などの「4つのゼロ」を推進します。

情勢分析と支持基盤

情勢調査の結果、朝日・沖縄タイムス・QAB共同調査では古謝氏が「やや先行」、玉城氏が「激しく追う」状況です。琉球新報・JX通信社および共同通信社の調査では、両候補が「横一線」とされています。課題別では、経済重視層の7割が古謝氏を、基地問題重視層の8割が玉城氏を支持しています。

支持基盤の詳細は以下の通りです。

  • 古謝玄太氏:自民、維新、国民民主、参政、日本保守、公明(県本部)の推薦を受けています。自民支持層(8割弱)、参政党支持層(8割)、国民民主支持層(7割弱)、無党派層(4割)が支持しています。下地幹郎氏の出馬取りやめによる「保守票の一本化」が有利に働いています。
  • 玉城デニー氏:オール沖縄(共産、社民、立憲、沖縄社会大衆党、いのちの支援)が支持しています。共産・立憲・社民支持層の大部分、無党派層(5割)、女性層が支持層です。前回投票者のうち、今回も投票すると回答したのは6割強に留まり、2割が古謝氏へ流出しています。
  • その他の候補:兼島俊氏、屋良朝助氏、比嘉隆氏、末吉正弘氏の4名は、いずれも「厳しい戦い」であると分析されています。

今後の展望

有権者の約4割から5割が投票態度を明らかにしていない未定層であり、この層の動向が勝敗を決定づける可能性が高い状況です。

この状況を受け、玉城陣営は戦略を転換しました。当初は経済・福祉を重視し辺野古への言及を控えていましたが、保守一本化への危機感から政府与党への対決姿勢を強めています。今後は、未定層の取り込みと、自民・維新・公明などの組織票がどこまで古謝氏に集約されるかが焦点となります。