2026/09/06

中国が砂漠に「横須賀・台北」を再現?実物大模型で狙う台湾制圧策


中国による軍事施設模型の建設とその目的

中国は、習近平国家主席が最重要課題に掲げる台湾制圧に向けた軍事準備を推進しています。その一環として、内モンゴルやゴビ砂漠などの広大な砂漠地帯に、実物大の軍事および政府施設模型を建設し、大幅に増設しています。

これらの施設は、台湾有事における米軍介入を想定した接近阻止・領域拒否(A2/AD)訓練に利用されます。また、模型を用いた実弾訓練を通じて、長距離兵器の開発やAIシステムの高度化を推進しています。あわせて、兵士が台北などの現地と同等の感覚で作戦行動や首都制圧訓練を行える環境の構築を目的としています。

再現された標的と付帯設備

模型施設では、以下の具体的な標的が再現されています。

  • 日本:横須賀海軍基地(実物大模型および軍艦模型)
  • 台湾:総統府、主要政府庁舎、蘇澳海軍基地
  • 米軍:アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦、F-35、F-16、F-22戦闘機

また、以下の付帯設備が整備されています。

  • 280kmのトンネル:台湾政府庁舎模型間を結び、指導部の地下逃避シナリオに備える。
  • 37kmの鉄道:アーレイ・バーク級駆逐艦模型を動かすために整備。
  • 模擬滑走路:各種戦闘機模型を配置。

衛星画像では、横須賀模型付近に弾道ミサイルによるものとみられるクレーターや着弾跡が確認されており、蘇澳基地模型の岸壁や港内模型にも損傷が確認されています。

横須賀海軍基地の戦略的価値と専門家の分析

模型として再現された横須賀海軍基地は、米第7艦隊の主要艦艇が常駐し、第15駆逐艦隊(アーレイ・バーク級駆逐艦10隻)を常時配備する在日米海軍最大の拠点です。台湾有事に米軍が介入する場合、最前線となる可能性が高いため、中国の攻撃目標になりやすい位置付けにあります。

英国紙テレグラフやBusiness Insiderは、衛星画像分析に基づきこれらの模型の存在を報じました。専門家による分析は以下の通りです。

  • ダミアン・サイモン氏(インテル・ラボ):特定の敵を具体的に見据えた軍備であると指摘。
  • ショーン・オコナー氏(ジェーンズ):台北での作戦行動と同等の感覚を得るためのレプリカであると分析。
  • モンティ・カンナ氏(インド海軍元少将):訓練規模が前例のないレベルにあると指摘。
  • 呂礼詩氏(台湾海軍元少佐):台湾攻撃時に横須賀基地が真っ先に巻き込まれるため、模型訓練が行われていると解説。

一方で一部の検証者は、道路や港の形状が実際と完全一致しないことから、不完全な再現または別港である可能性を指摘しています。

台湾国防部の対応と分析的展望

台湾国防部の孫立方報道官は、中国による軍事・政府施設模型の設置を把握し、継続的に監視していると説明しました。あわせて、中国側の多様な軍事行動の可能性を前提に対応策を準備済みとしています。

分析的な展望として、港湾、燃料、弾薬、通信、修復、分散運用といった「基地の継続使用」が訓練対象となっている可能性が挙げられています。ただし、模型の存在だけでは、攻撃の決定、実行時期、具体的な使用兵器、標的の優先順位までは断定できません。