2026/08/27

新鹿沼駅付近で作業員死亡 見張り員の合図ミスが原因


事故の概要

2026年8月20日0時52分、栃木県鹿沼市の東武日光線新鹿沼駅付近で除草作業中の作業員4名が特急列車「スペーシアX」と衝突し死亡した。乗客・乗務員の負傷者はなく、約50名が無事に列車を降りた。

作業現場の人数

作業に従事していたのは作業員9名と元請け男性1名の計10名である。死亡した4名に加え、作業員2名と作業指揮者は列車接近に気づき退避した。

東武鉄道の作業規則と手順

  • 線路上作業時は作業員の近くに列車見張り員を配置する。
  • 列車が接近した場合、列車見張り員は作業員に退避合図を出す。
  • 退避が間に合わない場合、列車見張り員は運転士に赤い旗で緊急停止を求める。
  • 視界の悪い場所では、作業現場から約315 m離れた位置に中継見張り員を配置することが義務付けられている。
  • 手順は次のとおりである。
    1. 中継見張り員が列車見張り員に接近を旗で通知する。
    2. 列車見張り員が作業員に退避合図を出す。
    3. 退避完了後、両見張り員が運転士に接近了解旗を上げ、運転士は警笛で応答する。
  • 作業開始前に中継見張り員が監視態勢の整備を作業指揮者に連絡し、退避が完了していない場合は赤旗で緊急停止を要求する。

見張り員の配置と行動

列車見張り員は作業員約80 m離れた位置に配置すべきであったが、事故直前に赤い旗を振っていなかったことが確認された。運転士は接近了解の合図を見たと証言し、列車見張り員からの合図と認識した。

中継見張り員は上下線それぞれ作業現場から約315 m離れた位置に配置が義務付けられている。上り線では所定位置へ車で移動したが、実際には監視できていなかった。必要な連絡が作業指揮者に届かず、作業が開始された。

中継見張り員は列車見張り員と意思疎通できなかったと報告している。これにより、退避合図の伝達が不十分となり、緊急停止要請が行われなかった。

手順違反の具体例

  • 中継見張り員が所定位置で監視できていない状態で除草剤散布跡が残ったまま作業が開始された
  • 列車見張り員が赤旗を使用せず、緊急停止要請が行われなかった
  • 作業指揮者が退避完了の確認が不十分なまま作業を継続した

捜査の概要

県警は業務上過失致死容疑で45人規模の特別捜査班を設置し、列車カメラ映像の解析と作業員・見張り員・運転士への聴取を実施した。監視態勢の不備と見張り員の合図欠如が主要因として指摘された。

国土交通省は2026年8月24日から立ち入り調査を実施し、安全管理規定等を検証した。運輸安全委員会は現地調査を行い、旗合図の経緯を調査中である。

東武鉄道は事故当日と翌日の記者会見で概要を説明し、見張り員配置の実態を公表した。事故後15時22分に新鹿沼駅間の運転を再開し、警察捜査への全面協力を表明した。

直接的な影響

  • 作業員4名が死亡し、作業指揮者と残り作業員は無事に退避した
  • 約2,600人の利用者に対し運転見合わせが実施され、区間遅延が発生した
  • 鉄道運行の一時停止と復旧に伴う運行遅延が生じた

再発防止に向けた課題

  • 見張り員の配置距離が規定通りに守られていなかった点
  • 見張り員の監視態勢がリアルタイムで確保されていなかった点
  • 中継見張り員と列車見張り員間の意思疎通手段が機能していなかった点
  • 緊急停止旗(赤旗)の使用基準が遵守されていなかった点
  • 作業開始前の監視態勢確認手順が不十分であった点