航空自衛隊RQ-4Bグローバルホークの墜落概要
2026年9月15日、航空自衛隊の大型偵察無人機「RQ-4B グローバルホーク」が鳥取県沖で墜落し、行方不明となりました。
事故当日の経緯は以下の通りです。
- 10:20頃:青森県三沢基地を離陸(任務飛行中)。
- 12:55頃:通信装置に接続不良が発生。
- 12:58頃:鳥取県沖北約50kmの洋上で通信途絶し、レーダーから航跡が消失。
当該機にはフライトレコーダー(飛行記録装置)が搭載されていませんでした。
機体特性と運用システム
RQ-4Bグローバルホークは米国ノースロップ・グラマン社製の高高度長時間滞空型(HALE)無人機です。地上管制施設から衛星通信を介して操作し、中国、北朝鮮、ロシアの動向を把握するためのISR(情報収集・警戒監視・偵察)を専門とします。交戦能力は持ちません。
機体スペックおよび装備は以下の通りです。
- サイズ:全長約14.5m / 全幅約39.9m / 高さ約5m
- 性能:最大高度約1.8万m(6万フィート)、連続飛行時間約36時間、巡航最高速度 約570km/h
- 装備:合成開口レーダー(SAR)、電子光学/赤外線センサー
通信途絶時には、設定済みの飛行場へ自律的に帰投する機能を搭載しています。米空軍では過去に地上設備異常時にこの機能で帰投した事例があります。
捜索結果と原因の究明
海上保安庁のヘリコプターが14:19頃に浮遊物を発見しました。その後、F-15JおよびU-125Aが浮遊物を確認して写真分析を実施し、海上自衛隊のミサイル艇「はやぶさ」による撮影写真に基づき、9月16日に墜落と正式に断定されました。
航空自衛隊は事故調査委員会を立ち上げて調査団を現地に派遣し、回収した機体の一部と通信記録を分析して原因を究明します。推定される原因として、通信装置の接続不良および自律飛行機能が正常に動作しなかった可能性が挙げられており、あわせて機体異常、地上管制トラブル、通信リンク障害などの可能性を調査中です。
なお、現時点で不正行為や攻撃を示す情報はなく、部外への被害報告もありません。
運用体制と財政的影響
航空自衛隊は計3機のグローバルホークを保有し、すべて青森県三沢基地の「偵察航空隊(第502飛行隊)」に配備しています。2022年3月に初号機を導入し、2023年6月に3機体制を完了しました。
今回の事故により保有数が2機に減少したことで、整備・点検ローテーションおよび稼働率に致命的な影響が出る懸念があります。また、ノースロップ・グラマン社の生産ライン終了に伴う「部品枯渇(DMS)」が発生しており、追加費用を強いられています。
取得費用は1機あたり約170億〜210億円(総額約629億円)、年間維持費は1機あたり約43.9億円(ライフサイクル全体で約4,148億円)です。
防衛体制における位置付けと補完策
日本政府は、有人機の疲労や制約がない長時間監視を実現するため、無人装備品の拡充を防衛力強化の柱としています。
高高度無人偵察能力を補完するため、以下の多層的な監視網を運用しています。
- 地上レーダー、早期警戒機(E-2D/E-2C)、有人偵察機、海上自衛隊の装備、同盟国との共有。
今後は海上自衛隊にMQ-9Bを導入し、洋上監視能力をさらに強化する計画です。
外部の反応
鳥取県の平井知事は、国からの情報提供の遅れに不快感を表明し、迅速な情報共有を要求しました。
専門家の益尾教授は、高高度飛行であるため撃墜されにくい反面、トラブル発生時の事故リスクがあるとの見解を示しています。