2026/09/17

【国交省公表】外国人による土地取得の実態と今後の規制方針


外国人・外国法人による大規模土地取得状況の公表

国土交通省は2026年9月15日、外国人および外国法人による大規模な土地取得状況を初めて公表しました。この集計は2025年7月から12月までの半年間を対象とし、国土利用計画法第23条に基づく事後届出の内容を根拠としています。

届出の対象となる大規模取引の基準は、市街化区域で2,000㎡以上、都市計画区域外で10,000㎡以上です。

全体的な取得規模は以下の通りです。

  • 届出件数:68件(全体の0.7%)
  • 取得面積:124ha(全体の0.5%)
  • 範囲:21道府県に分散

取得主体の内訳と目的

主体別の内訳は、外国人個人が31件(76ha)、外国法人が37件(48ha)です。外国人個人のうち、永住者および特別永住者は13件(16ha)となります。

国・地域別の状況は以下の通りです。

  • 件数:中国が28件(個人9件、法人19件)で最多となり、次いで香港が7件、米国が7件、パキスタンが4件、英国が3件、イランが3件です。
  • 面積:中国が42haで最多となり、次いで英国が19ha、香港とオーストラリアが各13haです。

利用目的については、生産施設(工場・倉庫等)が23件で最多となり、そのうち18件が中国によるものです。また、資産保有・転売等目的が21件あり、面積ベースでは58ha(外国人・外国法人全体の46.8%)を占めています。

地域別では北海道の取得件数が19件で最多です。特にニセコ町、倶知安町、真狩村、蘭越町、小樽市で顕著であり、「資産保有・転売等目的」の取引が複数確認されています。

実態把握のための制度整備

国土交通省は2025年7月より施行規則を改正し、届出事項に「国籍・地域」を追加して報告を義務化しました。法人の場合は、設立準拠法国、代表者国籍、役員または議決権過半数の国籍を捕捉します。これにより、従来の氏名等からの類推ではなく、届出書に基づいた直接集計による精度向上が図られています。

他省庁においても、国籍情報の把握を強化する運用が進められています。

  • 法務省:2024年4月にローマ字氏名の併記を義務化し、2026年度中に申請人の国籍情報を追加する運用を検討しています。
  • 財務省(外為法):2026年4月1日より、国外居住者の不動産取得報告を目的不問に拡大します。
  • 森林法:2026年4月に届出項目へ国籍を追加し、2027年4月に林地台帳へ国籍を記載します。

一般不動産における規制の現状と課題

実態把握の精度向上が進む一方で、実際の規制については領域によって対応が分かれています。マンションなどの一般不動産については、現行制度で外国人も日本人と同様に土地を自由に購入でき、規制は見送られています。

規制を見送っている理由は以下の通りです。

  • WTO(GATS)の「内外無差別」原則に留保条項を設けていないため。
  • 都内新築マンションの海外居住者購入割合が3.0%と低く、価格高騰の主因とは断定できないため。
  • 日本人代理人を介した回避の防止が困難なため。

また、規制導入に際しては、以下の懸念事項が示されています。

  • 自治体:管理体制整備に伴う人的・システム的なコスト増加。
  • 不動産業界:説明負担の増加と責任範囲の拡大。
  • 外国人購入者:プライバシー負担による取得意欲の低下。
  • 市場:観光地や地方都市の土地価格への調整圧力。

安全保障上の重要土地に関する規制方針

一般不動産とは異なり、安全保障上の重要土地については、重要土地等調査・規制法に基づき厳格な調査が行われています。自衛隊基地や原発周辺、国境離島などの「注視区域」における2024年度の調査では、外国人取得は3.1%であり、そのうち中国と香港が47.5%を占めています。

2026年秋の臨時国会に提出予定の改正方針では、以下の内容が盛り込まれます。

  • 「届け出制」から「許可制」への移行。
  • 調査エリアの拡大。
  • 日本人代理人を介した回避を防止するため、国籍不問で規制する「内外無差別ルール」の適用。

高市政権は経済安全保障を最優先し、財産権よりも国家の存立と公共の福祉を優先する方針です。領域別の戦略として、水源地や森林での用途制限厳格化、国境離島での土地買収の事実上の禁止、都心一等地での名義人身元確認の徹底を掲げています。あわせて、外国資本によるタワーマンションの管理組合支配を防ぐため、区分所有法に基づく所有制限を検討しています。