2026/09/17

玉城デニー知事の8年を検証:実績と課題、そして知事選の結末


玉城デニー知事の2期8年における実績と課題

玉城デニー氏は、沖縄県知事としての2期8年において、福祉、経済、インフラの各分野で以下の施策を推進しました。

福祉・教育および人権の推進

  • 子ども医療費の窓口無料化を、対象を3歳までから中学校卒業までへ拡大し、所得制限を撤廃しました。
  • 小学校の給食費を完全無償化し、中学校の給食費については半額支援を導入しました。
  • 子どもの貧困対策基金を30億円から60億円に倍増させ、貧困率を29.9%から20.2%へ低下させましたが、依然として全国最下位の水準にあります。
  • 非課税世帯等の保育料を無料化し、待機児童数を7年連続で減少させました。
  • 「差別のない社会づくり条例」を制定し、「沖縄県性の多様性尊重宣言」を策定したほか、57組が利用した「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を導入しました。

経済・産業およびインフラ整備

  • 2024年の県税収は過去最高の1,997億円を更新しました。
  • 中小企業支援として、6万件の相談対応と328億円の独自財源投入を行い、医療・観光業界との連携によりコロナ禍からの経済回復を図りました。
  • モノレールの3両化を実現し、離島振興には1,342億円を投入して海底光ケーブルの敷設や水道の広域化を実施しました。

これらの実績がある一方で、行政運営および安全管理においては以下の課題も指摘されました。

行政運営上の不備と安全管理の課題

  • ワシントン事務所において法定手続き(意思決定、財産管理、報告)が欠如していたため、2025年に事務所を閉鎖し、県議会で問責決議が可決されました。
  • 申請ミスにより、国庫補助金約2億3,000万円が受領不能となる可能性が生じました。
  • 2026年3月の辺野古沖転覆事故では高校生と船長が死亡し、学校の安全管理不備が認定されました。また、教育旅行推進事業のアドバイザーに抗議船関係者が含まれていた点に批判が集まりました。
  • 2024年6月の抗議活動中の死亡事故に関し、道路管理者としてガードレール設置要望を放置していたとの指摘を受けました。
  • 県民所得が全国の約66%(過去最低)であり、財政力指数が全国最下位水準にあるなどの構造的課題を抱えています。また、2023年度の観光客数は2019年水準を下回っています。

3期目への政策ビジョンと平和・安保政策

玉城デニー氏は、「平和で誇りある豊かさを新時代沖縄 なおひたむきに、希望の先へ。」というスローガンのもと、「1.命を守る」「2.くらしを支える」「3.未来をひらく」という3つの約束を掲げました。

経済・福祉・環境の公約

  • スタートアップ、創薬、半導体などの戦略分野を集積させた循環型経済の構築を目指しました。
  • 非正規雇用の待遇改善、中小企業従業員の奨学金返済支援、およびさとうきび生産体制の整備を推進する方針を掲げました。
  • 「おきなわゆいまーる基金(仮称)」の創設、医療費無償化の18歳までへの拡大、および給付型奨学金の拡充を計画しました。
  • 鉄軌道の導入やLRT・BRT等の新システム構築による交通・まちづくり一体改革を推進し、再エネ導入拡大による島しょ型クリーンエネルギー社会の構築を目指しました。
  • 自然環境保全を「新たな公共事業」として確立し、雇用を創出することを掲げました。

平和・安全保障に関する姿勢

  • 辺野古新基地建設に明確に反対し、普天間飛行場の早期閉鎖・返還を主張しました。米国防総省文書に基づき「辺野古が唯一の解決策ではない」とし、普天間閉鎖により9,000億円の経済効果を見込んでいます。
  • 南西諸島への自衛隊増強および長距離ミサイル配備に反対し、日米地位協定の抜本的見直しを要求しました。
  • 地域外交を通じた相互理解と、非核・非戦・非暴力の意志表示を行う外交アプローチを採りました。

2026年知事選の結果と構造

2026年9月13日の投開票の結果、玉城デニー氏は古謝玄太氏に約15万票差で敗北しました。

候補者の立場と推薦

  • 玉城デニー氏:現職(独立無所属)。立憲民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組が推薦。
  • 古謝玄太氏:新人(元総務官僚)。自民、維新、国民、参政、保守、公明が推薦。

主要争点と対立軸

  • 辺野古移設の是非:玉城氏は反対、古謝氏は容認を主張しました。
  • 経済政策:古謝氏は一括交付金の増額による10年での県民所得倍増を主張しました。
  • 実績評価:玉城氏の県政8年間の実績が評価の対象となりました。