2026/08/20

LINEポケットマネー、再び業務改善命令と過剰貸付


業務改善命令の経緯

2024年4月18日、東京都はLINEクレジットに対し貸金業法に基づく業務改善命令(行政処分)を出した。これは2020年1月21日の処分に続く2回目の命令であり、改善策の文書報告を2024年9月25日までに求めた。

2026年8月18日、同社に再度業務改善命令が出された。対象は「LINEポケットマネー」顧客47人への不適切貸付であり、信用調査不十分、収入証明書未取得、年収の3分の1を超える過剰貸付が指摘された。認定違反は返済能力調査義務違反、過剰貸付禁止違反、基準額超過極度方式基本契約に係る調査義務違反である。改善策報告期限は2026年9月25日までに設定された。

令和6年度(2024年度)に東京都は都内貸金業者へ業務停止処分2件、業務改善命令1件を実施した。

貸金業法の主要規制

  • 2010年6月改正により「年収の3分の1を超える貸付」禁止制度(総量規制)が導入された。
  • 第13条は合算借入額が100万円超の顧客に対し収入証明書等の提出を義務付ける。
  • 第13条の2は個人過剰貸付契約(年収等の3分の1超)を禁止する。
  • 第13条の3は基準額超過極度方式基本契約に対し信用情報調査・収入証明書提出を求める。

システム不備と原因

LINEクレジットの与信審査システムに不具合があり、信用情報照会や収入証明書提出要否判定が正常に機能しなかった。この不備は2022年5月から2026年1月まで約3年8か月継続し、対象顧客は47人である。

システム不備は2024年1月に把握され東京都に報告され、2026年1月にも再度把握し報告された。

顧客への影響

2022年5月から2023年1月(または2026年1月まで)に「LINEポケットマネー」顧客47人に対し信用調査が不十分な状態で貸付契約が締結された。そのうち5人は必要な収入証明書を提出させずに契約が行われ、1人に対しては年収の3分の1を超える過剰貸付が実施された。

2020年の処分時には顧客32人に過剰貸付、16人に収入証明書未取得があった。不備は2019年8月末に発生し、9月4日に把握、同月6日に東京都へ報告された。

累計実績

2026年3月末時点の累計貸付実行額は3000億円超、累計申し込み数は300万人超である。

再発防止策と改善計画

  • システム開発体制の見直しと継続的モニタリングの実施。
  • 経営管理体制・ガバナンス体制の強化。
  • システム不具合の解消と類似事案の調査を実施済み。
  • 公開謝罪文の掲載と広報担当者のコメント(「深くおわび申し上げる」「厳粛に受け止め、再発防止策を徹底する」)。
  • 問い合わせ窓口の設置(電話03-6670-3941、受付平日11:00~17:00)。

事業規模と出資構成

「LINEポケットマネー」は2019年に開始され、LINEアプリ経由で個人向け無担保ローンを提供している。出資構成はLINE(現LINEヤフー)51%、みずほ銀行34%、オリエントコーポレーション15%である。本社は東京都品川区に所在し、代表取締役CEOは木幡 寛である。

他金融機関の業務改善命令例

  • イオン銀行(2024年12月、金融庁がマネーロンダリング・テロ資金供与対策で業務改善命令)。
  • 苫小牧信用金庫(2025年5月、北海道財務局が業務改善命令)。
  • 武蔵野銀行・千葉銀行(2023年、金融庁が仕組み債不適切販売で業務改善命令)。
  • 複数の消費者金融・中小貸金業者が過剰貸付、返済能力調査不備、取立て行為違反で都道府県や財務局から処分を受けている。