背景と業界動向
厚生労働省の調査によると、昨年時点で60歳定年とする企業は全国の62.2%であり、定年制を廃止している企業は3.9%である。日本の企業は人手不足が続く中、定年後に契約社員等へ切り替える従来型制度を採用するケースが多い。YKKグループは定年制を完全に廃止している。上場企業においては、65歳以上を契約社員として雇用する例はあるが、正社員として継続雇用する制度は希少である。
塩野義製薬の制度変更
塩野義製薬は2027年度に定年年齢を60歳から65歳に引き上げ、65歳以上も正社員として雇用し、成果に応じて毎年雇用を更新する制度を導入する。雇用更新は毎年の人事面談を経て実施され、対象は同社本体の国内社員で、2027年度以降に定年を迎える者に限られる。
現行制度は60歳定年であり、希望者は最大65歳まで再雇用されるが、役職が外れ給与が下がるケースが多い。新制度は60歳以降も職務グレードと成果に基づき給与水準を維持できる可能性がある。
成果・業務内容に応じて年齢上限なしで1年ごとに継続判断が行われ、70歳・80歳でも定年前の給与水準で働き続けることが可能である。退職一時金制度は廃止され、確定拠出年金など別の年金制度へ移行する。制度の詳細は労働組合と協議中である。
目的と狙い
塩野義製薬はベテラン社員の知見・経験を活かし、優秀な人材の確保と流出防止を目的としている。また、米国・英国などの海外雇用慣行に合わせたグローバル水準の人事制度へ転換することを狙いとしている。
市場・競合比較
YKKグループは定年制を廃止し、無年齢上限の継続雇用を実施している。一部上場企業は65歳以上を契約社員として雇用するが、正社員としての継続雇用は珍しい。
影響と展望
企業側では、定年実質廃止によりベテラン人材の確保が容易になる。給与体系の柔軟化によりベテラン社員のモチベーション向上が期待できる。
社会側では、高齢雇用の拡大が労働市場の多様化に寄与する。退職金制度の廃止と確定拠出年金へのシフトが年金制度全体に影響を与える。
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