2026/08/20

竹中工務店元所長、万博工事で6千万円キックバック逮捕


逮捕と捜査の概要

2026年8月19日午前11時3分、大阪府警は大阪市中央区の竹中工務店大阪本店に家宅捜索を実施した。逮捕されたのは元総括作業所長の河井辰巳容疑者(61歳)で、背任容疑がかけられている。

捜査2課は、河井容疑者が下請け業者から受領した可能性のあるキックバックが6,000万円以上に上ると指摘し、過大請求の実態解明と資金流用の追跡を重点課題としている。

河井辰巳容疑者の不正行為

河井容疑者は2025年2月から6月にかけて下請け業者と共謀し、工事費を約1,300万円~1,400万円水増しさせた。結果として竹中工務店に約2,780万円を支払わせた。

水増し代金の一部である約1,370万円は自宅リフォーム等の私的目的に流用された疑いがある。また、自宅や親族が経営する飲食店の改修工事を「万博関連工事費」と偽って下請けに請求させ、同様にキックバックを受領したとみられる。

逮捕前に河井容疑者はテレビ番組で大屋根リングの工事内容やロボット・ドローン・AI導入を紹介していた。

竹中工務店と共同企業体の位置付け

竹中工務店は大阪・関西万博の大屋根リング等会場整備工事を担当する共同企業体(JV)の中心メンバーである。JVは約175億5,500万円規模の工区を落札した。

同社は逮捕事案について「従業員の逮捕は遺憾」とし、警察捜査に全面協力すると表明した。府警は本件により同社が約1,370万円の損害を被ったと説明した。

JVは竹中工務店を中心に構成され、西工区(約700m)では竹中工務店、南海辰村建設、竹中土木が施工した。一次・二次下請けが多数参画し、契約関係は多層的である。

日本国際博覧会協会の対応

日本国際博覧会協会は大屋根リングと周辺施設を3工区に分割し、国内大手ゼネコンがJVを結成して公募落札した。

同協会は不正が事実であれば遺憾であるとし、捜査状況を慎重に注視するとともに、必要に応じて協力すると声明した。2026年6月には竹中工務店から不正疑いの報告を受け、調査を依頼している。

不正金額の詳細

  • 下請け業者に対し工事費を約1,000万円~1,400万円水増しさせ、竹中工務店に支払わせた金額は合計で約2,700万円~2,780万円。
  • 河井容疑者が下請け業者から受領した可能性のあるキックバックは6,000万円以上と指摘されている。

大阪・関西万博工事の概要と費用

大阪・関西万博は大阪市此花区の人工島・夢洲で2025年4月から10月に開催された。当初想定された建設費は1,250億円であったが、資材・人件費の高騰により2025年秋には2,350億円に増加した。

建設費の3分の1は国・府・市が負担し(約783億円)、残りは民間企業が負担した。

大屋根リングは周囲約2km、最大高さ約20mの木造建築で、ギネス世界記録「世界一の木造建築」に認定された。工事費は約344億円で、JVが約175億5,500万円で落札した。

西工区の工事費は2025年当初の193億円から2026年5月時点で350億円に増額された。

課題と今後の捜査

企業ガバナンスと内部統制

河井容疑者が有していた下請け選定、発注金額査定、完了確認の権限が不正に利用されたことが課題として指摘されている。JVの多層的契約関係により、費用妥当性の外部チェックが困難である。

今後の捜査と影響

大阪府警はキックバックの有無、資金流用の全容、他工区での類似不正の有無を継続調査する方針である。万博協会は不正が確認された場合の契約見直しや再発防止策を検討する。竹中工務店は内部監査体制の強化とコンプライアンス遵守を改めて表明する見込みである。