2026/08/20

トランプ政権、ICC赤根所長を制裁・ロシア指名手配


米国トランプ政権による制裁

2024年4月18日にトランプ政権はICC赤根智子所長らを制裁対象に指定した。2023年8月18日にも同様の制裁が発表され、継続的な圧力が示された。

2025年2月6日には大統領令14203号に署名し、制裁の法的根拠を確立した。トランプ政権は「必要ならICCを解体する用意がある」と公言し、ICCを米国主権への「許容できない脅威」と位置付けた。

米国務長官マルコ・ルビオはICCを「腐敗し、政治化された裁判所」かつ「主権侵害」と批判した。

米国財務省外国資産管理局(OFAC)は2026年8月18日に赤根智子をSDNリストに追加し、米国内資産の凍結と米人・米企業との取引禁止を実施した。さらに「50%ルール」を適用し、赤根が直接・間接に50%以上所有する法人も対象とした。General License 12により、取引整理の猶予期間は2026年9月17日0時1分(米東部夏時間)までとされた。

ロシア連邦の捜査・指名手配

2023年3月20日、ICCがプーチン大統領に逮捕状を出したことを受け、ロシア連邦捜査委員会は赤根智子ら3名のICC裁判官に対する捜査を開始した。

2023年7月27日に赤根智子を刑法違反容疑で指名手配し、2024年3月にも再度指名手配が行われた。

2025年12月12日、モスクワ裁判所は欠席裁判で赤根智子所長らICC判事9名に最長15年の拘禁判決を下した(個別量刑は不明)。

欧州連合(EU)の立場

EUはロシアのICC判事への刑事手続きを「政治的動機に基づく正当化できない威嚇」と非難した。

国際機関・他国の反応

  • ICCは「制裁にはひるまない」と声明し、司法に携わる者が脅迫されれば国際法秩序が危険にさらされると2026年8月19日に再表明した。
  • 国連事務総長アントニオ・グテーレスは同日、米国のICC制裁に「深刻な懸念」を表明した。
  • オランダ外相ベレンソンはICCの自由な任務遂行を擁護し、米国制裁を強く批判した。
  • ICC締約国会議議長団はロシアの措置をICC任務を損ねる威嚇行為と非難した。

赤根智子の経歴と役職

赤根智子は1956年6月28日生まれ(愛知県名古屋市)で、愛知県立旭丘高等学校卒業後、東京大学法学部を卒業し、ジャクソンヴィル州立大学刑事司法コースを修了した。司法修習生時代に結婚し、後に離婚した。

法務・検察キャリアは、1982年に検事任官し、横浜・名古屋・仙台・東京各地方検察庁で勤務した。2010年10月26日から2012年4月9日まで函館地方検察庁検事正を務め、2014年7月18日から2016年6月16日まで法務総合研究所長を務めた。

ICCでの役割は、2018年3月11日からICC裁判官として在任し、2024年3月11日にICC所長に就任した(日本人初の所長)。2023年には判事時代にプーチン大統領に対しウクライナからの子どもの拉致疑惑で逮捕状を発行した。所長としては「ICCの独立性と公平性を守る」ことを強調し、米国・ロシアからの制裁脅威に断固拒否した。

ICCの組織と活動

ICCの本部はオランダ・ハーグにあり、戦争犯罪・人道に対する罪を裁く国際機関として機能する。加盟国・地域は125か国・地域であり、日本は加盟しているが米国・中国・ロシア・イスラエルは非加盟である。

主な捜査・逮捕状事例は以下の通りである。

  • 2023年にプーチン大統領に逮捕状を発行。
  • ガザ地区での戦闘に関し、イスラエル首相ネタニヤフに逮捕状を出す。
  • アフガニスタンで米兵らの戦争犯罪疑惑を捜査。
  • 2026年8月19日、司法関係者への脅迫に対し国際法秩序保護の声明を発表。

ICCは警察・軍隊を保有せず、執行権は加盟国に委任されている。

金融・経済的影響

米国内銀行はSDNが関与する送金・決済を原則処理できず、赤根智子関連資金は凍結された。General License 12により、2026年9月17日0時1分まで取引整理の猶予期間が設定された。

日本の主要金融機関はOFAC規制を遵守し、赤根智子および関与取引を拒否・停止・制限した。

米ドルが基軸通貨であるため、米国制裁は世界の金融機関・企業に広範な波及効果をもたらす。制裁対象者は米国クレジットカード利用が困難になり、米企業のサービス受給が制限される可能性が高い。

日本政府および他国の反応

米国務省は制裁はICCへのものであり日本政府への罰ではないと説明し、「大変残念だ」「不当な圧力には屈しない」などの声明を発表した。ICCとオランダ当局に赤根智子の安全確保を要請した。

EU・欧米諸国はロシアの指名手配を非難し、赤根智子を支持した。セネガル出身のICC弁護士も同日制裁対象に追加されたことが報告された。

米国内の過去事例として、トランプ前大統領は2025年2月にICC当局者への経済制裁・渡航制限を可能にする大統領令に署名した(ICCがイスラエル首相に逮捕状を出したことへの報復)。