2026/09/19

経済安全保障と積極財政!新内閣の政策戦略


第2次高市改造内閣の概要と基本方針

第2次高市改造内閣は2026年9月17日に公表され、同日に発足した。

内閣は首相を含む全19人のうち、10人が交代し、8人が留任した。

内閣の目的は、政権運営の安定化と刷新のバランス、党内融和と求心力の維持、政策課題への対応力強化である。

改造は首相の国務大臣任免権に基づいて行われ、内閣そのものは継続する。

改造は新しい政策を打ち出すためではなく、決まった政策を実行するための布陣である。

党内基盤の安定を図るため、首相の後ろ盾である副総裁と義弟にあたる幹事を「重石」として配置した。

改造が掲げた政策の柱

改造が掲げた基本方針は以下の3本柱で構成される。

  • 「責任ある積極財政」による「強い経済」の実現
  • 「力強い日本外交」
  • 政権公約の実現

実務に近い政策として、サプライチェーン調査の継続、サイバーセキュリティ対策の強化、国家情報会議を司令塔とするインテリジェンス機能の強化、および「戦略三文書」の見直しが実施される。

経済安全保障と経済構造の強化

経済安全保障担当大臣の小野田紀美氏の担当分野は、AI戦略などから以下の3つに絞られた。

  • 経済安全保障
  • 感染症危機管理
  • 外国人との秩序ある共生社会推進

小野田大臣は、不断にサプライチェーン調査を実施し、為替変動や経済的威圧にも強い経済構造を構築するよう指示が出た。

経済産業省の担務には、中東情勢に伴う重要物資安定確保担当が追加された。

赤沢亮正経産大臣の担務には、「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当」と「AX(AIトランスフォーメーション)社会実装担当」が新設された。

「AX社会実装担当」は、医療・介護、運輸、建設などの分野でAIの活用を加速し、中小企業・小規模事業者へのAI普及を推進する。

「地域未来戦略」は「強い地域経済」を前面に出し、産業クラスター形成と投資促進に重心を移す新しい全体戦略である。

政策実行体制と安全保障の強化

防衛省は、無人機やAIを含む「新しい戦い方」と長期戦を想定した持続的な対応能力の確保を論点としている。

装備の量だけでなく、産業・技術・継戦能力を強化する方向が示されている。

外交・安全保障政策の継続性確保のため、外相(茂木敏充氏)と防衛大臣(小泉進次郎氏)の留任が行われた。

デジタル相兼サイバー安全保障担当は、松本尚氏から古川俊治氏へ交代した。

古川大臣の担務は、AI・デジタル改革推進、サイバー安全保障、人工知能戦略、科学技術政策が並び、経済安全保障の実務において技術流出防止や研究セキュリティが重要となる。

司令塔機能の強化と国際連携体制

国家情報局は、外交・軍事だけでなく、経済・技術、サイバーを含む情報を扱う官邸の情報機能として7月31日に発足した。

国家情報局には経済部が設置され、軍事・外交だけでなく経済・技術情報もインテリジェンスの対象とする国家情報会議も設置された。

対日外国投資委員会(JFIC)は2026年6月29日に発足予定であり、対日経済摩擦(円安など)への対応を強化する。

法制度と経済・財政の対策

法制度の整備として、経済安全保障推進法は2026年6月10日に改正法が成立し、6月17日に公布された。

重要経済安保情報保護活用法(セキュリティ・クリアランス制度)は2025年5月に施行された。

輸出貿易管理令は2026年2月に改正され、FPGA組込装置などが追加された。

特定重要物資は2025年12月の政令改正により船体や無人航空機などが追加され、16物資となった。

政府は消費税率引下げなどの財源を赤字国債に頼らず確保する方針である。

歳出・歳入の見直しを進め、具体像は予算編成の中で示される。

財務相には「消費税・支援金法案担当」が新たに兼務として付与された。

食料品の消費税については、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間1%にする改正案が示されている。

今後の重点施策と外交課題

2026年2月の施政方針演説では、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、健康医療安全保障、国土強靱化、サイバーセキュリティが「危機管理投資」の対象として位置づけられる。

2026年10月1日には重要インフラ統一基準が分野横断のサイバー対策基準として施行される予定である。

対内直接投資の審査を担う対日外国投資委員会(JFIC)も、対日経済摩擦への対応を強化する。

外交課題としては、米国の財務長官が日本の財務関連閣僚への不満を示している報道に基づき、通商・為替政策を巡る摩擦解消が喫緊の課題となっている。

この課題への対応策として、鈴木財務相が続投する場合は日米経済対話での粘り強い外交努力が図られる。一方、財務関連閣僚が交代する場合は、新たな交渉体制で日米関係の修復を促す強いメッセージが求められる。

政治的な課題と国民の評価

内閣支持率は44.1%で前月比4.3ポイント下がり、派閥の政治資金問題で処分を受けた議員の閣僚起用には68.6%が反対した。

第2次改造内閣の当面の課題として、秋の臨時国会での食料品消費税減税・給付制度の関連法案、2027年度予算編成、安保3文書の改定、副首都法に基づく政令・基本方針の策定が挙げられる。

内閣改造後の政権は、具体的な成果を早期に示すことが求められる。