米国の政治的動機とトランプ大統領の要求
トランプ米大統領は、米国内の軽油平均小売価格が1ガロンあたり6ドルを突破し、過去最高を更新したことに危機感を抱いています。大統領は、この価格高騰の原因はイラン作戦ではなく、ロシア・ウクライナ間の戦闘にあると主張しています。
また、燃料価格の上昇が2026年11月の中間選挙において、与党・共和党にとって逆風になることを懸念しています。こうした背景から、トランプ大統領は9月13日にゼレンスキー大統領に対し、ロシアのディーゼル燃料関連施設への攻撃停止を要求しました。
エネルギー施設を巡る攻撃の現状
ウクライナ軍は、サマラ州シズラニ製油所へドローン攻撃を行い、ロシア国内でガソリン不足が長期化する状況を招いています。また、9月15日にはサマラ州の工業施設や住宅へのドローン攻撃も実施しました。
ロシア軍は、9月15日にキーウのガソリンスタンドや倉庫を攻撃し、死者1名、負傷者7名が出る被害が発生しています。
合意の主張と各国の反応
トランプ大統領は9月14日、SNSにて双方がエネルギー施設を攻撃しないことで合意したと投稿し、停戦に向けた動きの一環であると主張しました。しかし、フィナンシャル・タイムズのミラー特派員は「トランプ氏が先走った」と指摘しています。
合意に対する各国の反応は以下の通りです。
- ロシア側:ペスコフ報道官は「非常に良い考えだ」と歓迎したものの、合意の成否には言及せず、公式発表も行っていません。また、対露制裁の解除が必要であると主張しています。
- ウクライナ側:ゼレンスキー大統領は、パートナー国による「ロシアの攻撃停止」の保証があれば停止する用意があるとしています。ロシアが合意を遵守することへの不信感から、現時点では成立していないという立場です。関係者は「合意に向けた作業は進んでいるが、最終合意はなされていない」と証言しています。
過去の経緯と今後の課題
2025年3月には米国仲介による30日間の攻撃停止合意がありましたが、双方が違反を主張し、なし崩し的に失効した経緯があります。
今回の件についても、トランプ大統領が合意を表明した翌日の9月15日に双方が攻撃を継続しており、実効性が懸念されています。また、ロシア側が求める制裁解除と、ウクライナ側が求める保証という要求の乖離が、停戦へのハードルとなっています。