ウクライナにおける鉄道インフラの現状と戦略的重要性
ウクライナでは2022年のロシア本格侵攻以降、すべての航空便が停止しているため、鉄道が国民の主要な交通手段となっています。特にヤホディン―ドロフスク国境検問所は、西側からの軍事・人道支援物資の主要な搬入ルートであり、ロシアによる攻撃対象となる戦略的背景となっています。
ロシア軍による攻撃手法と実績
ロシア軍は、ジェットエンジンと強化された誘導システムを装備した改良型ドローンを投入しています。このドローンは通常型より高速で、迎撃が困難な特性を持っています。
2026年の主な攻撃実績は以下の通りです。
- 1月:ハルキウ州の旅客列車を攻撃し、5名が死亡
- 9月9日・10日:ウクライナ・モルドヴァ国境検問所を攻撃し、2名が死亡
- 9月13日:ウクライナ西部ヤホディンにおいて、キーウからワルシャワへ向かう旅客列車の機関車、および国境検問所付近のガソリンスタンドやトラックを攻撃
また、鉄道インフラへの広範な攻撃も実施されており、キーウの車両基地への攻撃で従業員6名が、ウクライナ南部の旅客列車への攻撃で女性車掌がそれぞれ死亡しています。
外交要人の状況と鉄道側の対応
ボリス・ジョンソン元英首相、カール・ビルト元スウェーデン首相、EU安全保障担当者は、ヤルタ欧州戦略会議後の帰路に外交列車で乗車していました。脅威による時刻表変更で予定より早く出発したため、これらの要人は被害を免れました。また、デイヴィッド・ペトレイアス元CIA長官は、攻撃時にヤホディン駅に停車していた別の列車に乗車していました。
ウクライナ国営鉄道(ウクルザリズニツャ)は、攻撃直前まで外交列車がヤホディン駅に停車していたことから、意図的な狙いがあった可能性が高いと主張しています。同社は攻撃回避のため、列車の運行時刻を絶えず調整する防御策を実施しています。
各国政府および関係者の反応
ウクライナ政府は、アメリカ等の友好国に迎撃ミサイルおよび防空システムの供与拡大を繰り返し要請しています。シビハ外相は「プーチンのテロがEUとNATOの扉を直接ノックしている」と非難し、制裁措置を要求しました。
ポーランド政府では、シコルスキ外相がNATOの「玄関先」での攻撃頻度増加を深刻なエスカレーションと定義しました。これを受け、トゥスク首相は最新情勢を協議するための緊急会議を招集しています。
ボリス・ジョンソン元英首相は、民間鉄道まで対象とする「無差別で無意味な攻撃」であると批判し、早急な防空システムの提供を求めました。