2026/09/03

防衛予算過去最大へ!自衛隊が導入する「攻撃用ドローン」の正体


防衛予算の増額と無人アセットへの投資

防衛省は、11年連続の増額傾向にある防衛予算について、2025年度を前年度比9.4%増の過去最大規模に設定しました。「無人アセット防衛能力」の強化を重要施策としています。あわせて、5年間で総額1兆円規模の投資計画を策定し、沿岸防衛体制「SHIELD」の構築を推進しています。

小型攻撃用UAV(無人航空機)の導入については、2025年度予算に30億〜32億円を計上しました。2026年度に第1弾として310機の調達を見込んでいます。技術進化への対応のため、一般競争入札および総合評価落札方式を採用し、提案要求から装備化までを最長3年とする迅速な調達プロセスを設定しています。

現代戦のトレンドと導入の背景

ウクライナ戦争では、低コストな小型自爆ドローンが高価な戦車や装甲車両を破壊し、その戦術的価値が実証されました。一方で、電子攻撃によるUAVの無効化事例も発生しており、電子防御能力の確保が重要課題となっています。これにより、安価で大量生産が可能であり、人的リスクを低減できるドローンが世界的な主力兵器へと進化しています。

こうした世界的な傾向に合わせ、米国軍では小型ドローンを「消耗品(Consumables)」として再定義しました。AWS協力の「UASマーケットプレイス」を導入し、カタログ発注などの簡易的な調達を推進しています。

陸上自衛隊による小型攻撃用UAVの運用区分

陸上自衛隊では、以下の3つのカテゴリーで小型攻撃用UAVを運用します。

  • I型(個人携行型):対人、歩兵、トラックを対象とした短距離攻撃用。
  • II型(中型):対装甲車両および小型舟艇用。
  • III型(大型):車載型で、遠方目標への攻撃用。

機能面では、目標に突入する自爆型と、爆発物を投下する非自爆型の両方を導入します。いずれのタイプも弾薬およびカメラの搭載機能を備えています。

I型落札機「Drone40」の仕様と戦術

小型攻撃用UAV I型の入札では、丸紅エアロスペースが豪ディフェンドテックス社製の「Drone40」を提案し落札しました。調達規模は約310機、金額は36億8016万円で、納期は2027年5月末です。

Drone40は円筒形の構造を持ち、40mmグレネードランチャーから射出された後、飛行時にクアッドコプターへ変形します。ペイロードは換装可能であり、ISRカメラ、EFP(自己鍛造弾頭)、発煙・閃光弾、レーザー目標指示器、電子戦モジュールを搭載できます。

運用戦術としては、複数の機体で敵のアクティブ防護システム(APS)を飽和させて撃破するスウォーム(群)攻撃(MRSI)や、モーター停止状態で監視を実施するパーチ・アンド・ステアが想定されています。

その他の検討機および関連機材

陸上自衛隊の選定候補には、実戦実績とコストパフォーマンスを重視した以下のイスラエル製機材が含まれていました。ただし、国連によるジェノサイド認定等の政治的リスクがあるため、今回の一般競争入札への参加は見送られています。

  • ROTEM L:全重量6kg、射程10km。市街地での精密操作が可能。
  • HERO-120:全重量18kg、作戦半径60km。昼夜の目標識別および攻撃直前の中止機能を搭載。
  • SkyStriker:作戦半径100km、最高速度300ノット。GPS遮断環境下での自律追尾が可能。

また、他組織や国産の動向として、海上自衛隊では長時間偵察用のMQ-9Bシーガーディアン(20〜40時間滞空)や、垂直離着陸が可能な艦載型小型UAVのV-BAT(最大10時間滞空)を導入しています。あわせて、SUBARUがVTOL型国産UAV(非自爆型多用途)を提案し、Terra Droneが3Dプリンター製造による低コスト迎撃ドローンを開発しています。

今後の運用課題と社会的議論

運用体制として、1人の隊員が複数機を同時に操縦する運用を想定していますが、具体的な方法は継続して検討されます。また、宮城県での初公開訓練では、不具合により飛行できなかった事例が発生しています。

政治・社会面では、「攻撃用」という表現を用いたことで、平和憲法との整合性についての議論が再燃しています。一方で、北朝鮮等からの無人機侵攻という現実的な脅威への対処や、人的損耗を局限しつつ実効性を向上させる必要性が国防上の根拠となっています。