2026/08/29

八代・常滑のU字型ダンパーが地震で実証、80%維持


八代市役所の免震装置実績

八代市は2016年の熊本地震後に庁舎を建て替え、U字型ダンパーを組み込んだ地下柱頭免震構造を導入した。

2026年7月28日・29日に発生した熊本地震では震度6強が観測されたが、免震装置は大きく変形したものの建物本体は一部損壊にとどまった。

事業は継続可能と判断され、職員は安全確認済みの会議室を防災拠点として開放した。

専門家は、変形後も約80%の性能が残存していると評価し、免震装置は想定通りに機能したと分析した。

常滑市役所の免震装置実績

愛知県常滑市は同一メーカー製のU字型鋼材ダンパーを8か所設置し、2022年に庁舎を移転した。

新免震装置は震度7に耐える設計で、南海トラフ巨大地震想定の長周期地震動に対応している。

鈴木芳房課長は、ダンパーが揺れを抑える役割を果たし、八代市での変形は免震構造が機能した証拠であるとコメントした。

熊本県内他自治体の免震採用状況

宇土市、益城町、大津町、水俣市、天草市、人吉市、南阿蘇村などは基礎免震構造や柱頭免震を採用している。

2026年の熊本地震でこれらの自治体は震度6強から5弱を記録したが、大規模な構造被害は確認されなかった。

国土交通省と日本免震構造協会の調査では、免震装置の一部に損傷が認められたが、応急補修により耐震強度の向上が可能と評価された。

U字型ダンパーの技術的特徴

U字型ダンパーは鋼製で強靭かつしなやかであり、長周期地震動の揺れを抑制する設計となっている。

変形によりエネルギーを吸収し、形状変化が性能維持の鍵であることが東京科学大学・吉敷祥一教授の実験映像で実証されている。

同一メーカー製ダンパーは八代市と常滑市で導入済みであり、東海地方の他自治体でも採用例が増加している。

免震装置の構造と設計・施工

免震装置は建物と地盤の間に積層ゴム層とダンパーを配置し、水平動きを吸収する。

八代市新庁舎は地下柱頭免震構造を採用し、上部は鉄骨造とCLT床で構成された。

設計は久米設計が「災害に強い庁舎」コンセプトで行い、施工は前田建設工業が担当した。予算は約171億円である(市議会記録)。

市場動向と地震リスク

  • 東海地方のSランク活断層は30年以内に発生する確率が3%以上、近畿地方は30年以内にM6.8以上が発生する確率が50〜60%とされている。
  • 長周期揺れ対策としてU字型ダンパーの需要が拡大している。
  • 同一メーカー製ダンパーは東海地方の自治体で採用が増加中である。

課題と今後の展望

地震リスクの高まりを受け、各自治体は免震装置の点検と復旧計画を進めている。

八代市は4〜6か月の応急補修を実施しながら建物使用を継続する。約2年で本格復旧工事を完了し、従前以上の耐震性能を確保する計画である。庁舎機能は一時的に別所へ移転し、ダンパーの交換または機能移転を含む長期対応を検討中。

常滑市は南海トラフ巨大地震想定でU字型ダンパーと積層ゴム+ダンパーの免震構造を維持し、震度7まで耐える設計を確保している。

吉敷祥一教授は、変形後も約80%の性能が残り、耐久性が極めて高いと評価した。各自治体は免震装置の詳細点検、設備機能、業務継続計画(BCP)の運用状況を再検証しており、調査結果は県内自治体の庁舎整備・建て替え計画に影響を与える可能性がある。