迎撃ドローン早期取得プログラムの目的と構成
本プログラムは、長射程自爆型UAVの飽和攻撃に対し、高額ミサイルに代わる低コストかつ迅速な防空手段を確保することを目的としている。
調達フローは「公募 → 実証試験(約1か月) → 量産調達契約(約1か月) → 納入(約1か月)」の全工程を約3か月で完了する方式である。
評価基準には国内量産体制、サプライチェーン、運用支援体制が含まれ、単独合格が重要なマイルストーンと位置付けられた。
調達スケジュール(公募から納入まで)
2026年6月に公募が開始され、約3か月で調達が完了した。
- 38社が提案し、7月に実証試験へ進む4機種が選定された。
- 実証試験は7月下旬から8月上旬に実施された。
- 8月下旬に量産調達契約が締結された。
- 9月に海上自衛隊へ納入された。
- 契約条件として国内生産が必須とされ、2026年7月から4社が実証試験に参画した。
- 小泉進次郎防衛大臣は公式Xで短期間での調達実現を評価した。
テラドローン社の受注
テラドローン社は防衛装備庁から迎撃用ドローンの受注を発表した。
国産迎撃ドローン製品概要
Terra B1
防衛装備庁実証試験に単独合格し、唯一の量産調達対象となった。
- 垂直離着陸機能を備える。
- 時速約300kmで飛来する目標を追跡し無力化する。
- 有効射程・飛行時間・飛行距離・最高速度・巡航速度の全項目を満たす。
- ウクライナ戦場での自爆型無人機撃墜実績を基に設計された。
- ウクライナのアメイジング・ドローンズ社と連結子会社化し、技術・知見を取り込んだ。
Terra A1
- 全長47cm。
- 最大速度300km/h。
- 航続距離約30km。
- 価格40〜50万円。
- 垂直離着陸後、4ローターで高速接近し体当たり型で運用。
Terra A2
- 全長1m。
- 最大速度312km/h。
- 航続距離約75km。
- 価格約100万円。
- カタパルト発射型固定翼機で、レーダー連携が可能。
技術的根拠と国内サプライチェーン
部品、電池、通信、管制装置は国内サプライチェーンで調達されている。
短期供給、国内生産、整備、補給、教育を含む運用支援体制が整備された。
基地、艦艇、重要施設とのシステム連結が実装され、品質・安全管理体制が強化された。
市場背景と課題
中東地域では低コストの攻撃型UAVが大量に運用され、防御側は数億円規模の迎撃ミサイルに依存している。
ウクライナでは年間約400万機のドローンが生産され、低コスト迎撃ドローンで自爆型UAVに対処している。
日本は数十万円規模の安価な脅威に対し、数億円規模のミサイルは経済的に持続不可能と判断し、防空能力強化の一環として低コスト迎撃ドローンの導入を重要視している。
2023年度から5年間で約43兆円の防衛予算に無人機活用が重点項目として組み込まれている。
テラドローン株式会社の企業情報と実績
設立は2016年2月、資本金は1,348万円、所在地は東京都渋谷区、代表取締役は徳重徹である。
累計3,000件以上の測量・点検・農業・運航管理実績を有し、UTMシステムは世界10カ国で導入されている。
産業用ドローンサービスで2019年以降連続トップ2に選ばれ、2024年に世界1位評価(Drone Industry Insights)を受けた。
日本スタートアップ大賞2025で国土交通大臣賞を受賞した。
防衛装備庁の役割と募集要項
防衛装備庁は「迎撃ドローン早期取得プログラム」の実証・量産フェーズを主導した。
募集要項には飛行性能、有効射程、同時管制機数、射出・回収要領、他機器連接、安全対策、運用実績、納期など多項目が含まれる。
今後の展開と影響
Terra B1の量産開始により、防衛事業は量産調達フェーズへ移行する。
初期導入は海上自衛隊(艦載・基地)を起点とし、将来的に航空自衛隊・陸上自衛隊への展開が検討されている。
国内ドローン供給基盤の強化は外部供給リスクの低減と防衛産業の自立に寄与する。
低コスト迎撃ドローンの導入により、従来の数億円規模ミサイルに比して費用対効果が大幅に向上する。
#迎撃ドローン #テラドローン #防衛装備庁 #海上自衛隊 #低コスト防衛